検査内容・対象疾患・メリット・デメリット
しーすりー、しーふぉー、けっせいほたいか(しーえいち50) C3、C4、血清補体価(CH50) 1人の医師がチェック 1回の改訂 最終更新: 2025.09.24基準値(参考)
C3:86-160 mg/dL C4:17-45 mg/dL CH50:35-45 U/mL
数値が高いとき・低いとき
CH50 C3 C4 関連する病態・疾患 ↑ ↑ ↑ 悪性腫瘍、感染症、炎症性疾患 ↓ ↓ ↓ 肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎、全身性エリテマトーデス(SLE) ↓ → 急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、エンドトキシン血症、C3欠損症 → ↓ 遺伝性血管性浮腫(HAE)、C4欠損症 → → C5-9の補体欠損症、cold activation詳細
私たちの身体には、体内に病原体が入ったときにそれを認識して排除する、免疫という働きが備わっています。白血球が細菌を貪食して(飲み込む)殺菌するほかにも、T細胞という免疫細胞が活躍する細胞性免疫、B細胞という免疫細胞によって作られる免疫グロブリン(抗体)が活躍する液性免疫など、さまざまな機能が関わっています。それらの機能を補い、強化する役割を果たしているのが補体系です。 補体系は肝臓で産生される補体成分によって担われています。C3、C4はそれぞれ補体第3成分、第4成分のことで、血中で最も多く存在する補体成分です。補体系がどのくらい活性化しているのかを総合的に表す血清補体価(CH50)とともに測定されています。
補体系の詳細(専門的な内容になるので、興味がない人は読み飛ばして構いません) 免疫の機能を補い、強化する役割を果たしている補体系ですが、3つの経路があります。C3、C4、C1qなどの補体成分はこの3つの経路の中に登場します。それぞれの補体成分はどのような役割をしているのでしょうか。
①古典経路 免疫複合体(病原体と免疫グロブリン(抗体)が結合したもの)にC1qが結合することで始まります。C1qによって、C2はC2a,C2bに、C4はC4a,C4bに分解されます。C4bとC2aは結合してC4bC2aになり、C3を分解します(C3a,C3bが生じます)。C3bはC4bC2aと結合してC4bC2aC3bになり、C5を分解します(C5a,C5bが生じます)。 ②レクチン経路 微生物と血清中のMBL(マンノース結合レクチン)が結合することで始まります。それによってC4が活性化され、C4a,C4bに分解されます。そのあとは古典経路と同じです。 ③副経路 細菌の膜成分がC3に直接結合することで、C3がC3a,C3bに分解されることで始まります。
これらの3つの経路で生じた補体成分は以下のような役割を果たしています。
- C3a:マスト細胞からヒスタミンを放出させて、毛細血管を拡張し、透過性を高める
- C3b:異物に結合して、好中球やマクロファージが異物を貪食(飲み込む)しやすくする(オプソニン化)
- C5a:好中球を引き寄せて、異物を貪食する(飲み込む)のを助ける
- C5b:C6-9とともに膜傷害複合体(MAC)を形成し、溶菌・細胞破壊をおこなう
また、血清補体価(CH50)とは補体系(古典経路と副経路)がどのくらい活性化しているのかを総合的に表す指標です。
CH50 C3 C4 関連する病態・疾患 ↑ ↑ ↑ 悪性腫瘍、感染症、炎症性疾患 ↓ ↓ ↓ 肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎、全身性エリテマトーデス(SLE) ↓ → 急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、エンドトキシン血症、C3欠損症 → ↓ 遺伝性血管性浮腫(HAE)、C4欠損症 → → C5-9の補体欠損症、cold activation 数値が高いとき例:悪性腫瘍、感染症、炎症性疾患 炎症が起きているときは数値が高くなります。そのため、これらの数値が高いからといって具体的に病気が診断できるわけではありません。
数値が低いとき- 肝疾患
- 補体は肝臓で作られるので、肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎などの肝臓の病気では全ての補体成分が減少します。
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 全身性エリテマトーデス(SLE)では、全身で免疫複合体が作られています。その免疫複合体にC1qが結合することで、補体系の中でも古典経路が活性化されます。古典経路の補体が消費されてしまうため、C3, C4の数値が下がります。
- 急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、エンドトキシン血症など
- これらの病気は病原体の感染が原因で起こるので、補体系の中でも副経路が活性化されます。副経路の補体が消費されてしまうため、C3の数値が下がります。
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)
- 補体系を抑える機能が遺伝的に失われている病気です。古典経路のうち、C4が持続的に活性化されて消費されてしまい、C4の数値が下がります。
- 補体欠損症
- 先天的に補体を産生できない病気です。この場合、血清補体価(CH50)は低下します。どの補体が欠損しているかによって検査結果が変わってきます。C1-8欠損症では症状が出現しますが、C9欠損症では問題なく健康に生活していると言われています。
- cold activation(※病気ではありません)
- 採血した血清を低温に放置すると、試験管の中で補体系が活性化されてしまい、血清補体価(CH50)が低くなってしまうことがあります。この場合、C3, C4の数値の低下は明らかでない場合が多いです。