耳下腺腫瘍の基礎知識
じかせんしゅよう 耳下腺腫瘍 耳下腺(耳の前から下に存在する唾液腺)から発生する腫瘍の総称 6人の医師がチェック 58回の改訂 最終更新: 2020.02.09 執筆・監修 医療事典 MEDLEY 編集チーム 医師・薬剤師耳下腺は耳の下あたりにある唾液を作る臓器で、耳下腺にできた腫瘍が耳下腺腫瘍です。8割が良性腫瘍で、多形腺腫とワルチン腫瘍が大半です。悪性腫瘍(耳下腺がん)は組織型により悪性度が異なります。症状は耳の前や下のしこりです。耳下腺がんでは急激に大きくなったり、痛みがでたり、腫瘍がある方の顔の動きが悪くなることがあります。診断はMRI検査や超音波検査と、腫瘍に針をさして細胞をとり顕微鏡でみる検査(穿刺吸引細胞診)を行います。治療は手術での摘出が基本となりますが、ワルチン腫瘍の場合は手術を行わないこともあります。手術では顔面神経麻痺が最大の合併症になります。耳の下の腫れの原因は種々ありますので、まずは耳鼻科のクリニックに受診し、必要に応じて大きな病院を紹介してもらいましょう。
- 耳下腺に発生する腫瘍の総称
- 耳下腺は耳の前から下に存在する唾液腺
- サラサラした唾液を作って口の中に分泌している
- 唾液腺腫瘍のうち、耳下腺腫瘍が8割
- 10万人あたり1-3人の発症率
- 良性腫瘍が多く、75-90%を占める
- 良性腫瘍では、多形腺腫とワルチン腫瘍が多い
- 悪性腫瘍(耳下腺がん)では多数の種類がある
- 耳下腺がんは、低悪性度、中悪性度、高悪性度に分けられて、生存率が異なる
- 耳下腺の中を顔面神経が貫いている
- 顔面神経が耳下腺の浅い部分(浅葉:せんよう)と深い部分(深葉:しんよう)を分ける
- 手術の際には、顔面神経を温存できるかが重要となる
- 耳前部や耳下部が腫れる
- 良性腫瘍の場合は、耳下腺の腫れ以外の症状がないことが多い
- 通常は片側だが、ワルチン腫瘍は両側にできることがある
- 悪性腫瘍を疑う特徴的な3症状
- 痛み
- 急激な増大
- 顔面神経麻痺
- 問診
- 腫れた時期、しこりの大きさの変化、痛みの有無などを確認
- 視診、触診
- 顔面神経麻痺の有無を確認
- 耳下腺腫瘍の硬さや位置、首のリンパ節の腫れがないかを確認
- 超音波検査
- 腫瘍のある位置や、腫瘍の様子、血流などを調べる
- MRI検査
- 腫瘍の位置や広がり、内部の様子を調べるのに重要な検査
- CT検査
- 耳下腺の腫れが、腫瘍か感染なのかを調べる
- 周囲のリンパ節が腫れているかどうか調べる
- 穿刺吸引細胞診
- 耳下腺の腫瘍に針を刺して、細胞を取り、顕微鏡で詳しく見る検査
- 良性腫瘍なのか悪性腫瘍なのかを判断する
- 腫瘍の種類が推定できる
耳下腺腫瘍の治療法
手術で耳下腺腫瘍を摘出するのが基本
- 良性腫瘍のうち、多型腺腫はがん化するため、良性であっても摘出する
- 多型腺腫では腫瘍の膜が破れると、再発を起こすので腫瘍の周りに正常な耳下腺をつけて摘出する
- ワルチン腫瘍のがん化は極めて稀であり、手術をしないで経過を見ることが多い
- 良性腫瘍では、腫瘍のある位置で手術方法を決定する
- 耳下腺浅葉摘出術:顔面神経より浅い部分にある腫瘍に対する手術
- 耳下腺深葉摘出術:顔面神経より深い部分にある腫瘍に対する手術
- 耳下腺全摘術:耳下腺を全て摘出する
- 耳下腺深葉摘出術、耳下腺全摘術では顔面神経を損傷するリスクが高い
- 良性腫瘍のうち、多型腺腫はがん化するため、良性であっても摘出する
耳下腺がんの治療
- 腫瘍の悪性度と進行度で手術方法を決定する
- 悪性度の高い腫瘍の場合は顔面神経も切断する
- 顔面神経切断後は顔面神経の再建することもある
- 筋膜を移植して変形を矯正する方法と、神経や筋肉を移植して表情を作る方法がある
- 術後の病理診断によって、放射線治療や化学療法を追加で行う
手術の合併症
- 顔面神経麻痺
- 顔面神経を切断しない場合でも、一時的な麻痺が起こることがある
- 一時的な麻痺では半年程度の経過で改善する
- 切断した場合は神経再建などを検討する
- Frey症候群
- 耳下腺内の顔面神経の一部が皮膚に分布することで起こる
- 食事の時に耳下腺摘出部の皮膚が赤くなったり、汗をかいたりする
- 唾液ろう
- 耳下腺内の唾液を輸送する管が皮膚に分布することで起こる
- 顔面神経麻痺
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