“音を出さずに”音速で飛ぶ。NASAのジェット機X-59がすごい
“音を出さずに”音速で飛ぶ。NASAのジェット機X-59がすごい- 2025.11.03 21:00
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- Passant Rabie - Gizmodo US
- [原文]
- ( 岩田リョウコ )
新たな航空時代の幕開けになるかも。
NASAのX-59航空機が南カリフォルニアの砂漠上空で初飛行を完了。爆発や雷のような爆音なしで音速で移動できる未来にまた一歩近づいた感じですね。
とにかく音を抑える!
先日、X-59はカリフォルニア州パームデールにあるロッキード・マーティン社のスカンク・ワークス施設から離陸。初期試験飛行の第一回目を実施しました。約1時間の飛行で航空機の性能を検証し、無事にカリフォルニア州エドワーズのNASAアームストロング飛行研究センター付近に着陸できたということです。
この実験機は航空宇宙企業ロッキード・マーティン社によって製造されたもので、音速の壁を“静かに”突破できるよう設計されています。
飛行機が音速(マッハ1=約時速1,234キロ)を超えると、極度の速度によって衝撃波が発生し、大きな爆発音が出ます。これをソニックブームと呼びますが、超音速機が頭上を通過する場所に住む人たちがびっくりするような爆音になってしまうのです。
トランプ大統領が超音速飛行禁止を撤回
1973年、アメリカ連邦航空局はこの騒音被害を防ぐため、軍用機を除く超音速飛行を国内の陸地上空で禁止。当時の航空技術は、現在ほど高度ではなかったからです。
しかしその後の研究によって、超音速飛行時の騒音を軽減する方法が見つかりました。そして今年6月、トランプ大統領はこの禁止措置を撤回し、アメリカ連邦航空局に対して超音速機の騒音基準を制定するよう指示しました。NASAは約10年前から静音型超音速機の開発に取り組み、ロッキード・マーティンに5億1800万ドル(約790億円)もの額を拠出し、X-59を開発しました。
尖った鋭い機体デザインが地表に伝わる圧力変化を緩和し、ソニックブームの影響を減らす設計となっています。また、X-59のエンジンは機体上部に搭載されており、地上への騒音をより抑える効果もあります。NASAは声明で「地上の人たちはドンという軽い音を聞く程度で、ほとんど何も聞こえないでしょう」と述べています。
NASAは今年初めX-59全体を駆動する単一の改良型F414-GE-100エンジンとサブシステムの試験を完了。この試験が、今回の初飛行への道を開いたのです。
今後数か月の間に、NASAとロッキード・マーティンはX-59の飛行性能試験を継続し、初の超音速飛行も行なう予定です。試験では、目標とする速度と高度に達しつつソニックブームよりも小さな音を実現できるかどうかを確認するとのこと。その後、NASAはX-59の音響特性を測定し、地域での受容性試験を実施する予定です。
最大時速2,179キロを実現?
商業用超音速飛行が再び実現すれば、移動時間は大幅に短縮されることになります。最大時速2,179キロで飛行することができるようになれば、ロンドンからニューヨークまでたった3時間ほどで移動できて、しかも静かという未来が現実になってくるかもしれません。