「幻のコメ」を買い入れるために“10年に及ぶ長期契約”を結んだ消費者が、生産者と汗を流す…愛知県の山村集落で進む「自給家族」の姿
「幻のコメ」を買い入れるために“10年に及ぶ長期契約”を結んだ消費者が、生産者と汗を流す…愛知県の山村集落で進む「自給家族」の姿

「幻のコメ」を買い入れるために“10年に及ぶ長期契約”を結んだ消費者が、生産者と汗を流す…愛知県の山村集落で進む「自給家族」の姿

2025.12.29
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「幻のコメ」を買い入れるために“10年に及ぶ長期契約”を結んだ消費者が、生産者と汗を流す…愛知県の山村集落で進む「自給家族」の姿

鈴木 宣弘

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

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2024年に端を発した「令和の米騒動」。2025年までのわずか1年でコメの価格は6割以上暴騰した。政策対応は刻々と打ち出されているものの、先行きはなお不透明――日本人の主食であるコメを「買えるかどうか」を気にしながら節約を強いられる日々が続いている。

農業は国防そのものだ。世界の供給網が揺らげば、四方を海に囲まれた島国・日本は一気に脆弱になる。国難を乗り切るためにもっとも大切なのが「食料安全保障」なのだ!

コメが買えない、高い、この異常事態をどう乗り切るのか?そして、この未曾有の危機の裏側には何があるのか…。この国の食料問題の「暗部」と闘い続ける東大教授・鈴木宣弘の告発と提言の書『もうコメは食えなくなるのか』より一部抜粋・再編集してお届けする。

『もうコメは食えなくなるのか』連載第43回

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『「農をあきらめない」ために、地域の力を結集…コメの「食べ手」が「作り手」を支える、宮城県の山間地の取り組み』より続く。

家族のように生産者を信頼する

「一億総中流」のアベレージ層の消費者は、近年手取り収入が減少傾向にあり、かつてよりも貧しくなっている。その結果、農業生産者が持続可能な発展をしていくために必要な適正金額を払えない。貧困と格差がいびつに広がりつつある日本の実態が「令和のコメ騒動」によって可視化された。

生産者にとっての適正米価と、消費者が頭の中で弾き出す適正米価は、あまりにも乖離している。この部分をどう埋めていくべきか。生産者と消費者の自給圏作りによって、コメ生産者が頭を悩ませる適正米価の課題に答えを見出せるかもしれない。

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愛知県豊田市の山間部に、わずか25世帯の「押井の里」と呼ばれる集落がある。この押井の里を起点に、コメ農家と消費者を直接つなぐ「自給家族」契約を結ぶのだ。

押井の里では「源流米ミネアサヒCSAプロジェクト」と呼ばれるユニークな取り組みが進められている。わかりやすく解説しよう。

CSAとは前述のように「地域支援型農業」という意味だ。消費者は、顔が見える生産者から生産品を買い入れる。まるで同じ家族のように、信頼する生産者からおいしいコメを供給してもらう。

押井の里では「ミネアサヒ」と呼ばれる幻のコメが栽培されている。非常に珍しい品種のため、市場にはほとんど流通していない。押井の里では森林から美しい水が供給される。山間地だけに昼夜の温度差もあり、大自然に包まれておいしいお米ができあがる。農薬や化学肥料の量は、慣行栽培(化学肥料や農薬を使う一般的な栽培法)で使用される半分以下まで抑えて安全性を高める。

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