25年前、紅白のステージに導いた“繊細なのに芯がある”再出発ソング 3人→2人体制で刻んだ“初の完全ニューシングル”
25年前、紅白のステージに導いた“繊細なのに芯がある”再出発ソング 3人→2人体制で刻んだ“初の完全ニューシングル”- 2025.10.13
「25年前の秋、街を包んでいた音楽を覚えている?」
2000年の日本は、CDショップは多くの人でにぎわい、深夜の音楽番組がまだ若者たちの話題を独占していた時代だった。携帯電話を片手に、待ち合わせの不安やときめきも日常に溶け込んでいた。そんな季節に、多くの人の耳をひときわ静かに、そして確かに震わせた一曲がある。
Every Little Thing『愛のカケラ』(作詞:持田香織・作曲:多胡邦夫)――2000年10月18日発売
この作品は、デビュー当初からグループを牽引してきた五十嵐充の脱退後、持田香織と伊藤一朗の2人体制として初めての完全な新曲シングルだった。節目の1曲として届けられたバラードは、ELTにとっての再出発を象徴する存在となった。
ふたりで踏み出した“最初の景色”
1990年代後半、ELTは『For the moment』や『Time goes by』など数々のヒットを重ね、J-POPシーンの中心にいた。しかし、2000年春に五十嵐がグループから離れたことで、大きな岐路に立たされる。次に発表する曲が、彼らにとって新たな信頼を築く試金石となった。
『愛のカケラ』は、そんな背景のもと世に送り出された。これまでのエレガントでドラマティックなサウンドから一歩距離を置き、よりシンプルに旋律と歌声を前面に据えた楽曲構成となっている。
Every Little Thing-2000年03月撮影 (C)SANKEI静かな強さを宿すバラード
この曲の魅力は、過剰に盛り上げることなく、むしろ抑制された中で情感を引き出している点にある。多胡邦夫によるメロディは、大きな起伏を避けつつもじんわりと広がる余白を持ち、持田の声のニュアンスを最大限に生かす。
持田のボーカルは、切なさと凛とした透明感をあわせ持ち、聴き手の心に直接触れる。伊藤のギターは派手に主張することなく、穏やかに支える。そのバランスが、ふたりでの新たな表現を自然に形作っていた。
紅白のステージに立った証明
『愛のカケラ』は、2000年末の第51回NHK紅白歌合戦で披露された。紅白という舞台で歌われたことは、2人体制のELTが世間に確かな存在感を示した瞬間でもある。華やかな舞台の中で、静けさをまとったこの曲が響いたことは、多くのリスナーに鮮烈な記憶を残した。
持田は「本当に頑張りたい一心で書いた曲だった」と後に語っている。『愛のカケラ』での経験が、その後の活動や表現の軸を形づくったことは間違いない。
余韻を残す再出発の歌
2000年の秋に届けられた『愛のカケラ』は、単なるシングルのひとつではなく、Every Little Thingにとっての“新しい始まり”を告げる楽曲だった。
時代は大きく移り変わっても、大切なものが壊れても、その先にまだ続いていく道がある――そんな感覚を、この曲は今も静かに伝えている。
過ぎ去った四半世紀の中で、何度も形を変えながら歩みを続けてきたELT。その第一歩を切り取った『愛のカケラ』は、当時を知る人にとっても、今聴き返す人にとっても、心に柔らかな余韻を残すバラードであり続ける。
※この記事は執筆時点の情報に基づいています。