ブラックサンダーを原価10円以下で手作りする
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ブラックサンダーを原価10円以下で手作りする

2014年3月12日 2025年7月9日

ブラックサンダーを原価10円以下で手作りする

皆様は、ブラックサンダーを食べた事ありますか?

これがブラックサンダーです。

有楽製菓株式会社が作るこのお菓子を、私は、つい最近まで食べた事がありませんでした。友人知人からは、美味しいとの評判を何度も耳にしていましたが、本物志向が強い私は、たかが駄菓子という見下したような驕りがあったのでしょうか、買う事はありませんでした。

ところが、最近子ども達のお菓子にブラックサンダーがあり、とうとう私も口にする機会が訪れました。

これ美味しいやん!!

驚きましたね。30円でこの味ならヒットして当然です。この味・このボリュームで、誰もが財布の事情を気にせずに買える30円という価格設定がヒットの秘密ではないか?と私は勝手に分析しております。

そして、30円で売っているという事は、材料原価は、おそらく5円くらいではないでしょうか?5円でこの味を出すというのは、至難の業です。企業努力の賜物ですね。見習いたいものです。

そして、この企業努力を見習うと共に、私もブラックサンダー作りに挑戦してみようと思います。

有楽製菓が1個当たりの原価5円(税抜き)で作っていると仮定して、私もこれを目指しますが、5円というのは、業務用のルートで大量に仕入れているからであって、家庭で作る場合、基本的にスーパー等で仕入れる訳ですから話が違います。私は、1個当たりの原価10円(消費税5%込み)を目標に作ってみようと思います。

クックパッド等で調べると、手作りブラックサンダーのレシピが色々と載っていますが、そこに載っているのは、オレオクッキー等を、板チョコで固めて作るパターンばかりです。この方法で作ると、確実に美味しいものができるでしょうが、原価はとても高くなります。お金をかければ、ブラックサンダーよりもはるかに美味しいものを簡単に作れますが、安くて美味しいものを作るのが、有楽製菓の企業努力に通ずるものがあると思うので、今回は、それを目指すのです。

ブラックサンダーは「準チョコレート菓子」

さて、ブラックサンダーのパッケージを見ると、「準チョコレート菓子」と記載してあります。安くて美味しい駄菓子を作るのに、少々長くなりますが、この「準チョコレート菓子」について説明せねばなりません。

「準チョコレート菓子」とは、準チョコレート生地が60%未満の準チョコレート加工品の事。「準チョコレート」とは、準チョコレート生地そのものか、準チョコレート生地が60%以上の準チョコレート加工品の事。「準チョコレート生地」とは、カカオ分15%以上・ココアバター3%以上。脂肪分18%以上で、水分3%以下のもの。

という規格があるみたいです。昨年私が、生のカカオ豆から手作りしたチョコレートが、カカオ分74%。準チョコレートの規格は、カカオ分15%以上。すごい差ですね。

※生のカカオ豆からチョコレートを作った記事は、以下をご覧ください。カカオ豆からチョコレートを作ろう

私が手作りしたチョコのカカオ分74%以外の残り26%は、全て砂糖でした。また、準チョコレートのカカオ分15%以外の残り85%は、何かというと、砂糖・粉ミルク・植物油です。

砂糖と粉ミルクは分かりますが、植物油と言われても、何の植物か分かりませんね。はて、植物油とは何でしょう?

植物油とはこれです。

パーム油です。アブラヤシという、椰子の実から抽出された油です。業務スーパーで、1リットル入り158円(消費税5%込)で購入。

チョコレートや、その他全ての食品の原材料に「植物油」と記載されている物の、ほとんどが、これを使用しています。チョコレートの場合、カカオバターの代用としてパーム油を使用する事によって、大幅にコストダウンできるのです。ただ、コストダウンと同時に味もダウンします。

ちなみに、ベルギーでは、植物油を少しでも混ぜたら、チョコレートとして認められないとの事。だからベルギーのチョコレートは、美味しいと評判なのでしょうね。

まあ要するに、「準チョコレート」は、チョコレートをパーム油で引き伸ばしていると考えて差し支えないと思います。そして、「準チョコレート菓子」は、準チョコレートを使用したお菓子と考えて差し支えないと思います。

また、日本で作られている、準チョコレートでない普通のチョコレートにも、ほとんどパーム油が入っています。原材料に植物油と記載されているものは、パーム油が入っていると考えて差し支えないです。理屈が長くなりましたが、準チョコレートについて理解していただけましたでしょうか?

それでは、1個あたりの原価10円を目指してブラックサンダーを作ってみましょう。

まずは、チョコに混ぜるクランブルを焼きます。

【ココアクランブルの材料】薄力粉 150gココアパウダー 10g上白糖 50gパーム油 50g【プレーンクランブルの材料】薄力粉 40g上白糖 20gパーム油 20g

※この材料は、美味しさより安さを追求しています。美味しさを追及するならパーム油をバターに、上白糖を粉砂糖に変えてください。

全ての材料を混ぜてボロボロの状態で天板に敷き詰めます。

180℃で25分焼きました。

サックリとした、それなりに美味しいクランブルになりました。

次は、クランブルをチョコレートで固めます。チョコレートは、既製品のできるだけ安いものを使用します。

こんなチョコレートを買ってきました。

200g入りで258円(消費税5%込み)一応、スーパーで一番安いと思われる物を買ったのですが、これでも高い気がします。

これは、準チョコレートではなく、普通のチョコレートだから、駄菓子素材として使うには、実際に高いです。だから、これをパーム油で引き伸ばして、コストダウンを図ります。

チョコレート 100gパーム油 25g上白糖 10g

以上を混ぜると、100gのチョコレートが135gのチョコレートに引き伸ばされるという計算です。

溶かします。

焼いておいたクランブルを混ぜます。

バットに広げて冷やし固めます。冷蔵庫で1時間くらい冷やしましたが…

あれ?

本来なら、パリッと固まっているはずですが、ふにゃっと柔らかいぞ。

チョコレートなら冷蔵庫で1時間も冷やせば、パリッと固まっていて当然ですよね。柔らかい原因は、パーム油を混ぜてチョコレートを引き伸ばしたためでしょう。きっとそうに違いない。

そこで、パーム油の事について、また詳しく調べてみると…パーム油は、もともとは半固形油脂なのだけれど、分別の仕方で融点を調整でき、様々な製品に分けられるという、他の油脂と異なった特徴があるという事が分かりました。

今回使用したパーム油は、「パームオレイン」と言って、炒め物や揚げ物専用に作られた、融点が15℃以下のものです。融点が15℃以下という事は、15℃以上では液体ということです。15℃以上で液体になる油などチョコレートには使用できません。これをチョコレートに混ぜると、当然ふにゃふにゃのチョコレートになります。市販のチョコレートのように、パーム油を混ぜてカチッと固まった物を作るには、どうするかというと、「パームステアリン」という融点が30~40℃の、カカオバターの代用品として作られたものを使用しなければいけません。

そこで、パームステアリンを仕入れようと調べましたが、スーパーにも、製菓材料店にも売っていません。アマゾンや、楽天にも、その他通販にも売ってませんでした。

さらに調べると、生産国のマレーシアやインドネシアから直輸入するか、もしくは直輸入している商社から売ってもらうかのいずれか。

ちなみに直輸入するとしたら、トン単位。商社から買うとしても、数十キロ単位。それ以前に、商社が個人を相手に商売などしてくれません。

どうやら個人で買うのは、諦めたほうがよさそうですね。

だから、個人で安いチョコレートを作るには、既製品のチョコレートの出来る限り安い物を買う。仕入れの努力でコストダウンを図るのが現実的でしょう。

まあ、そんな事言っても、すでに作ってしまったのだから、この、少し柔らかいものでブラックサンダーを完成させましょう。

これを適当な大きさに切ります。

そして既製品のチョコレートでコーティングします。

コーティング用のチョコレートは、もうパーム油で伸ばしません。少しだけ白いブラックサンダーも作りました。

コーティングは、本来ならもっと薄くするつもりだったのですが、厚くなりました。

パーム油を混ぜていたら、薄くコーティングできたのかもしれません。けど、固まらないチョコレートじゃぁ話にならないですからね。チョコレートが厚くなったから、その分美味しくなるのでしょうが、チョコレートの量が増えて原価を押し上げています。

冷やして固めれば、手作りブラックサンダー完成です。

原価計算すると、1個あたり13.79円(消費税5%込み)でした。

目標原価オーバーですが、まいっか。

こちらは、白いブラックサンダーです。

この白いコーティングチョコは、明治の板チョコホワイトを使用しました。1個あたりの原価は30.63円(消費税5%込み)かなり高級になってしまいました。

高級感を出すために、缶に入れてみました。

味はどうでしょう?

美味しさイナズマ級!!(笑)

冷蔵庫で冷やしている限りは、中の柔らかいチョコレートも少し固いです。

本物のブラックサンダーは、準チョコレートなのでカカオ感がほとんど無いですが、ミルクと砂糖と香料で見事に美味しく作られています。

手作りのこちらは、コーティングのチョコレートが準チョコレートではなく、普通のチョコレートであるのと、それが分厚いために、カカオ感が強いです。

それでもこちらの方が美味しいかと言うと、どうでしょうか。甲乙付け難いです。

それにしても、ブラックサンダーは、準チョコレート菓子であれだけ美味しいのだから、やはりすごいと思います。

さすがヒット商品、そう簡単に真似できないです。

原価を気にせず本気でブラックサンダーを手作りしてみます。

次は、原価をブラックサンダーの販売価格と同じ30円(税抜き)以内に抑えて、もっと美味しい物を作ってみようと思います。原価がブラックサンダーの販売価格と同じなら、ブラックサンダーより美味しく作らないと意味が無いです。作ったものが美味しくないのなら、本物のブラックサンダーを買った方が良いですからね。

けど、前回は13.79円で本物と同レベルの物ができたので、きっと今回は、もっと美味しく出来ると思います。そして、手作りしたら、たくさんできるから、箱買いするのと同じくらいの量ができますよ。

作り方は以前と同じで、材料をいい物に変えて作ります。まず、大まかにブラックサンダーを作る手順から説明しましょう。

◆ブラックサンダーを作る手順(中村式)

1.チョコクランブル・プレーンクッキーを焼く2.チョコクランブル・プレーンクッキーを砕いてチョコレートで固める3.固まったものをチョコレートでコーティングする

以上の3つの工程で作ります。では、細かい事は、作りながら説明します。

◆ブラックサンダーのレシピ【チョコクランブルの材料】バター 50g砂糖 50g薄力粉 100gココアパウダー 10g【プレーンクッキーの材料】バター 20g砂糖 20g薄力粉 40g溶き卵 5g【その他の材料】チョコレート 200g1.チョコクランブル・プレーンクッキーを焼く

軟らかくしたバターに砂糖を加え、混ぜる。薄力粉を加え混ぜる。ココアパウダーを加え混ぜる。チョコクランブルの生地は、まとまらずにボロボロになりますが、ボロボロの状態で大丈夫です。同様の手順でプレーンクッキーの生地も混ぜます。

オーブン天板に並べます。チョコクランブルは、ボロボロのまま均等に広げ、プレーンクッキーは、適当に薄く伸ばします。チョコクランブルととプレーンクッキーの2種類を、形状を変えて混ぜることで、本物のブラックサンダーと同様に、食感の違いを楽しめるようにしています。

170℃のオーブンで30分焼きました。これを冷まします。

2.チョコクランブル・プレーンクッキーを砕いてチョコレートで固める

チョコレート100gを溶かし、チョコクランブルとプレーンクッキーを砕いて入れ、混ぜます。それをクッキングシートを敷いたバットに1cm厚くらいに伸ばし、冷蔵庫で冷やし固めます。

3.固まったものをチョコレートでコーティングする

固まったものを適当な大きさに切ります。

チョコレート100gを溶かします。

切り分けたものにチョコレートを付けて、クッキングシートを敷いたバットに並べ、冷やし固めます。チョコレートを付けるのは片面だけで良いです。

このように、包丁で切ったあとの残骸が残りました。

残骸は、残ったチョコレートに放り込み、混ぜます。

適当な大きさにまとめて、クッキングシートを敷いたバットに並べ、冷やし固めます。

そして…

手作りブラックサンダーが、12個完成しました。

こちらは、規格外の手作りブラックサンダー。形は、本物とは違いますが、むしろこういった形の方が自然かもしれないです。

お味は最高。

バターや、本物のチョコレートを使ってますから美味しくて当然。

ちなみに1個当たりの原価は、24.8円(税抜き)。規格外の1個あたりの原価は、13.5円(税抜き)。

原価から見ても、味から見ても合格です。

最後に、私のブラックサンダーに対する熱き思いを語る

私が何故こんなにブラックサンダーにこだわるかというと、ブラックサンダーには、学ぶべきところがたくさんあるからです。

今では、安くて美味しいから売れて当然のように思いますが、発売当時は売れ行きが悪く、一度は販売終了になった事もあるのです。94年の発売当時は、販売ルートが主に駄菓子屋さんばかりで、駄菓子屋さんで30円という価格設定は、ちょっと高く、それまでの主力商品であるチョコナッツスリーが20円だったこともあり、子どもが気軽に買えなかったのかもしれません。そのまま売り上げが伸びぬまま、発売から1年後の95年には、残念ながら販売終了となりました。

ところが、なぜか九州地区では他の地域よりも売り上げが良かったために、九州では「なんでもっと売らないのか?」という声があったそうです。そこで、翌96年に販売再開することになりました。

しかし、まだ販路が確立されていませんから、なかなか売り上げは伸びません。こうした中、当初は子どもをターゲットとしていたのですが、実は若者層に売れている事が分かってきました。

そして、大学の生協に話を持ち込み、商品を置いてもらったところ、狙い通り学生に支持され、次第に売り上げを伸ばし始めました。

さらに、06年「生協の白石さん」で取り上げられて、さらに売り上げを伸ばします。

その販売実績からコンビニチェーンでも取り扱いが始まり、06年の年間販売個数は2000万個を突破。

07年には3000万個を突破。

08年には北京オリンピック男子体操の銀メダリスト・内村航平選手がブラックサンダーが好物であるとメディアに取り上げられ、4500万個を突破。

09年には1億個を突破。

そして、12年には1億4000万個という大ヒット商品となりました。

このヒットの背景には生協の白石さんや、内村航平選手などの幸運もありましたが、それだけでヒットしたわけではありません。

安くて美味しいという商品を開発した事。また、マーケティングにより的確な販路を開拓した事。販路を切り開く為の営業力。

まさに中小企業の鑑です。私もサラリーマンの端くれですから、ブラックサンダーに敬意を表し、大いに学びたいと思います。

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このブログを書いてる人

オトコ中村 京都在住 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。 YouTubeもやってます。 X(旧Twitter)で更新情報など色々呟いてます。 詳しくは プロフィールのページ をご覧ください。

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