Ca:カルシウム
Caとは?
カルシウム(Ca)は骨や歯などの構成成分である他、神経刺激の伝達、筋肉の収縮、血液の凝固などに関与する重要なミネラルの一つです。
体内のカルシウム濃度は、上皮小体ホルモン(PTH)、甲状腺の傍濾胞細胞(ぼうろほうさいぼう)から分泌されるカルシトニンなどのホルモンの影響をうけ、調節されています。
参考基準値(富士ドライケム) 犬 猫 単位 9.3〜12.1 8.8〜11.9 mg/dL※こちらの基準値は当院で使用しております。富士ドライケムの参考基準値です。他の測定器や外注検査では異なりますので、ご注意ください。※当院の検査報告書では血液中の蛋白などから計算式により補正したものを記載するようにしておりますが、特に犬では補正は必要ない[4]との意見もあります。
Caが高値↑のときは?
上皮小体機能亢進症、副腎皮質機能低下症などの内分泌疾患や慢性腎臓病[犬・猫]、ビタミンD過剰症、骨溶解病変、肉芽腫性病変、一部の腫瘍性疾患(リンパ腫や肛門嚢腺癌など)のときにはCa値が高くなり、高カルシウム血症になります。また、高脂血症があると数値が高めに出たり、猫では特発性といって原因不明の高カルシム血症が起こったりすることもあります。もちろん、検査エラーで起こることもあります。
アメリカでは高カルシウム血症の原因を覚えるのに、頭文字を取って、ハードイオンズGと覚えます。
H: Hyperparathyroidism 上皮小体機能亢進症(上皮小体依存性)
A: Addison 副腎皮質機能低下症
R: Renal disease 慢性腎臓病(上皮小体依存性)
D: Vitamin D toxicosis ビタミンD中毒
I:Idiopathic 特発性(猫)
O:Osteolysis 骨溶解病変
N: Neoplasia 腫瘍
S: Spurious 偽性, 高脂血症, ラボエラー
G: Granulomatous 肉芽腫性病変
犬の場合、原因として多いのは腫瘍、上皮小体機能亢進症、慢性腎臓病、副腎皮質機能低下症で、猫で多いのは、特発性、腫瘍、慢性腎臓病だと言われます。犬も猫も腫瘍により高カルシウム血症になることが比較的多いとされていますので、Ca値が高値を示した場合は、レントゲン検査や超音波検査などを行い腫瘍がないか精査する必要があります。
猫の場合、原因不明な特発性の高カルシウムが多く、約半数は無症状で検診などで見つかります。
※ご家庭ではビタミンDの過剰摂取や中毒がないか確認してください。例えば、ビタミンDを含むサプリメントを飲ませていませんか? また、病院で処方された乾癬などの治療に使われるビタミンDを含んだ軟膏(例:オキサロール、ボンアルファ、ドボネックス)を使用したり、舐めたりしてないか確認してください。ご家庭にこれらの軟膏がある場合は、お知らせください。
Caが低値↓のときは?
食事からの摂取不足、吸収不良、腎不全、上皮小体機能低下症などの内分泌疾患などによりCa値が低くなり、低カルシウム血症になります。
■重度(iCa < 1.0) 上皮小体機能低下症、タンパク漏出性腸症、(くる病)、(周産期)■中〜軽度(iCa 1.0~1.2) 急性膵炎、急性腎臓障害、慢性腎臓病、SIRS/敗血症
血液検査・血液化学検査に関する注意点- 検査の結果が「基準値」から外れていても必ずしも異常を示すものではありません。他の検査項目や症状などと見比べる必要があります。詳しい結果の解釈につきましては、その都度お話いたします。
- 当院ではセカンドオピニオンのためにも必ず検査データをお渡しします。動物病院で血液検査・血液化学検査・尿検査などを行った場合は必ず検査結果をもらうことを推奨します。それは病気の経過を判断したり、セカンドオピニオンを受ける時に役立ちます。今どき、検査結果をもらえない病院はおかしいと思ったほうがいいでしょう。
- スクリーニング検査の重要性
- 伴侶動物治療指針 Vol.6; 138-149:カルシウムの異常に対するアプローチと治療
- 犬の内科診療 Part1;352-355:カルシウム濃度異常
- Prediction of serum ionized calcium concentration by use of serum total calcium concentration in dogs
- Determination of a serum total calcium concentration threshold for accurate prediction of ionized hypercalcemia in dogs with and without hyperphosphatemia
- Ionized Hypercalcemia in Dogs: A Retrospective Study of 109 Cases (1998–2003)
- Idiopathic Hypercalcemia in Cats
- Plasma concentrations of parathyroid hormone-related protein in dogs with potential disorders of calcium metabolism
- Hypercalcemia in cats: a retrospective study of 71 cases (1991-1997)
- 佐藤 雅彦先生の「ジェネラリストが知っておくべき内科疾患を総ざらい」 内分泌疾患編 2. Ca異常
<1>多中心性T細胞または高カルシウム血症性リンパ腫の犬におけるL-アスパラギナーゼとCHOPまたは修正MOPP治療プロトコルの併用治療の比較<2>免疫介在性多発性関節炎に罹患した犬において1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールの増加に続発した高カルシウム血症の1例 <3>イヌの子癇:31例(1995-1998)<4>ポイント・オブ・ケア分析装置を使った子犬68頭の様々な生化学、血液学、電解質、および血液ガス数値の参照範囲および年齢に関係した変化<5>犬猫の心肺蘇生中における酸塩基、電解質、血糖値、および乳酸値<6>市販されているキャット・フードの摂食により3頭の子猫に発生したビタミンD中毒<7>日常的な健康状態のスクリーニング: 外見上健康な中年および高齢猫の所見 <8>猫の汎脂肪織炎と重度の低カルシウム血症<9>3種類の貯蔵条件下における犬のイオン化カルシウムの変化<10>複合乳腺癌を患う犬における高カルシウム血症および上皮小体ホルモン-関連ペプチド濃度<11>慢性腎不全と代謝性アシドーシスの犬の血清カルシウムイオン<12>食物中のカルシウムとビタミンD欠乏に関連した珍しい成犬の骨減少症症例<13>肉芽腫性リンパ節炎に関連して高カルシウム血症と1,25ジヒドロビタミンD濃度の上昇が認められたイヌの症例 <14>機能性角質化エナメル上皮腫の犬における上皮小体ホルモン関連ペプチドおよび高カルシウム血症<15>重症患者の低カルシウム血症<16>犬の肛門嚢アポクリン腺癌<17>3頭の犬でコスタリカ住血線虫に関連して認められた高カルシウム血症<18>成犬における栄養性カルシウム不足による低カルシウム血症および上皮小体機能低下症<19>一般的な腫瘍随伴症候群<20>パミドロネート二ナトリウムで治療に成功した犬のカルシポトリエン中毒<21>悪性腫瘍に伴う液性高カルシウム血症の猫における上皮小体ホルモン関連性蛋白質の検出<22>猫の医原性二次性副腎皮質機能低下症および糖尿病に起因する高カルシウム血症<23>高カルシウム血症の犬における頚部腹側の腫瘤
2012 WR