安青錦「信じられない」横綱豊昇龍止め新三役場所で曙超え!ウクライナ出身「日本人より日本人」
安青錦(左)は豊昇龍を切り返しで破る(撮影・河田真司)<大相撲秋場所>◇12日目◇25日◇東京・両国国技館
新三役の小結安青錦(21=安治川)が、全勝の横綱豊昇龍を止めた。11連勝で優勝争いの単独トップだった相手のお株を奪う、スピードと技を駆使し、最後は切り返しで仕留めた。金星を挙げた先場所に続く、2場所連続の豊昇龍撃破。1敗で大の里と豊昇龍の両横綱が並び、2敗で前頭隆の勝、3敗で安青錦と正代、竜電の両前頭が追う。ウクライナ出身の新鋭が、自身の初優勝の可能性を高めつつ混戦の展開を演出した。
◇ ◇ ◇
鮮やかに、ひっくり返した。安青錦が、無敗で突っ走ってきた豊昇龍に快勝。割れんばかりの大歓声が起き、座布団が舞った。決着前に豊昇龍は右足を絡め、小手投げの体勢に入っていた。横綱得意の右からの投げ。だが安青錦は差した左を相手に巻きつけ、豊昇龍の右足を、自身の左足で刈り取るようにして宙を舞わせた。「信じられない! 自分の相撲を取れてよかった」。青い目を輝かせた。
立ち合いから突いて出てきた相手に、高速のおっつけで応戦した。頭を下げ続ける、きつい体勢も苦にしない。左下手を引くと、一気に寄り立てた。豊昇龍が武器とするスピードで上回り、先場所は渡し込み、今場所は切り返しと、多彩な技で仕留めた。「負けたからといって、自分の仕事が終わるわけじゃない」。挑戦者精神を前面に出した。瞬時の技は「全部反応」と運動神経の良さも抜群だ。
初土俵から所要12場所で新三役昇進は、年6場所制となった58年以降、付け出しを除いて最速だ。負け越しなしで新三役場所も勝ち越したのは元横綱曙以来、2人目。その曙も新三役場所は8勝止まりの中、9勝目を手にした。安青錦は曙について「すごい人。大横綱」と敬意を表した。ただ「曙関の取組はピンとこない。むしろ相手を参考」と身長2メートル超の故人よりも、参考にするのは182センチの自身に近い元横綱の3代目若乃花。技巧派が好きだ。
自らを「日本人よりも日本人」という。日本への愛着は強い。大阪から北海道まで広範囲を回った8月の夏巡業も「青森が楽しみ」と、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)の故郷を初訪問することにワクワク。移動の苦労よりも、日本の知らない土地を巡る喜びが勝った。探求心の強さが、豊昇龍を連破という土俵に直結していた。【高田文太】
【秋場所全取組結果】