「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog
3月歌舞伎座で上演される『加賀美山再岩藤』のあらすじと見どころをご紹介します♪
- 登場人物
- あらすじ
- 発端 多賀家下館奥庭の場
- 序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場
- 浅野川々端の場
- 浅野川堤の場
- 二幕目 八丁畷三昧の場
- 花の山の場
- 三幕目 多賀家奥殿草草履打の場
- 鳥居又助内切腹の場
- 大詰め 多賀家下館奥庭の場
- 見どころ
- 13年ぶりの通し上演
- 志賀市の琴演奏
- ダイナミックな大道具
- 岩藤と鳥居又助は一人二役
※あらすじは、平成7年10月歌舞伎座上演台本に基づいており、令和8年の演出は若干変わっているところもあります。
登場人物中老尾上 5年前に岩藤に侮辱を受け、自害した尾上の仇として岩藤を討った。その褒美に2代目尾上の名をいただいた
花園姫 多賀家当主の妹。病気がちで岩藤の怨霊たついているのではないかといううわさがたてられている。
多賀家当主大領 正室梅の方がありながら、側室お柳の方に心を奪われる。
梅の方 多賀家当主大領の正妻。
花房求女 大領がお柳の方ばかり大切にするため諫めたことで、疎んじられ追放され、又助の家で世話になる。
鳥井又助 求女の忠臣。主人の帰参を願い、お柳の方を殺そうと狙う。
安田帯刀 求女の上司。
おつゆ 又助の妹。求女と愛し合う。
志賀市 又助の弟。目が見えず琴を弾いて家計を助ける。
悪い一味
岩藤 5年前にお初に尾上の仇として討たれ、今は葬られているが亡霊としてよみがえる!
望月弾正 多賀家横領を企てる
お柳の方 多賀家横領を企てる。実は
蟹江一角 弾正の家来
蟹江主税 一角の弟
あらすじ 発端 多賀家下館奥庭の場多賀大領の妹、花園姫が病気になっているのは、5年前にお初に討たれた岩藤の怨念といううわさがたっていました。
大領のそばにはお柳の方が付き従い、正妻の梅の方がないがしろにされています。大領の家来である花房求女は、楊貴妃を描いた額を持ち、玄宗皇帝が楊貴妃の色香に迷い国が乱れたことを例に、大領を諫めようとしますが、大領は聞く耳を持ちません。求女は、お家の重宝金鶏の香炉も紛失し、その責任をとって追放されてしまいました。しかし、実は金鶏の香炉を盗んだのも蟹江一角配下のものでした。
序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場弾正の家来一角と主税兄弟は、弾正が出世すれば自分たちも出世まちがいなしと考えます。求女を追放したあとは、その上司の安田帯刀を追い出そうと悪だくみ。
そこへ、求女の忠臣である又助がやってきます。又助は、家に求女をかくまい世話をしていました。何とかして殿のご機嫌を直し、求女を元通り帰参させたいものだと考えています。
その忠義心に付け込んだのが、蟹江一角です。一角は、自分は弾正の家来だけれども実は求女のお家の帰参を望んでいると嘘をいい、言葉巧みに弾正の妹のお柳の方を殺してしまうよう又助をそそのかします。梅の方一行は菊唐草の紋を付けた提灯であると告げ、刀を持たない又平に刀を渡します。その刀は、求女のものでした。
浅野川々端の場一角にいわれた通り、菊唐草の紋のついた箱提灯を持った一行を襲う又助。しかし、その紋は梅の方のもの。又助は梅の方を誤って殺してしまったのでした。
浅野川堤の場梅の方殺害の証拠として、求女の刀の鞘が見つかってしまいます。又助は自分が襲ったのが梅の方とは知らないままです。
二幕目 八丁畷三昧の場ところ変わって、求女は又助の妹おつゆと中老尾上の命日に墓参りにきています。尾上の墓は慕う人も多く参詣客が多いのですが、同じ日に死んだ岩藤は誰一人訪れるものもないありさま。岩藤の亡骸は奥の土手に放り出されたままなので、鳶やカラスの餌食となっており、骨からは青い火が出ているとの話に、おつゆは震えます。おつゆと求女は何やらいいムードで小屋へ入っていきました。
八丁畷は、小高い土手で草土手のところに白骨がばらばらと飛び散っています。そこへ来たのが二代目尾上。尾上は主人初代尾上の祥月命日に、昔お初時代に着ていた八丈縞の着物を着てお参りにきたのです。しかし、自分が手にかけた岩藤の亡骸が捨て置かれると聞き、せめて未来は助かるようにと念仏を唱えようと寄ってきたのでした。
念仏を唱えていると、あちこちバラバラに飛び散っていた白骨がまとまり、岩藤の姿となって現われました。
「こなたに恨みを言おう言おうと待っていた。初、よう来やったのう」と亡霊は言い、襲い掛かろうとしますが、尾上は尊像を懐中よりだし、突きつけるとたじたじとなって退散していきます。尾上が尊像を落とし、奴伊達平と蟹江主税が出てきてだんまりで幕となります。
花の山の場場面はぱっと明るくなり、今までのおどろおどろしさはうそのよう。花道すっぽんからでてきた岩藤の亡霊は美しい局の拵えで日傘をさして出てきます。フワフワと宙乗りで楽しそうに飛んでいきます。(ふわふわ=舞台上のみの宙乗り)
三幕目 多賀家奥殿草草履打の場草履打ちの拵えのまま尾上が帰ってきました。花園姫はさっぱり体調が回復せず苦しそうです。
そこへ弾正がやってきます。弾正は、尾上が朝日の尊像を紛失したというのは真っ赤な嘘で、姫の病で家中が混乱していることに乗じて国を横領しようとし、金鶏の香炉も求女とたくらんで盗み出したに違いないと言い立てます。岩藤の声がおどろおどろしく響き渡ります。そして館が鳴動し、岩藤がせりあがるとともに、美しい館が荒れ果てた屋敷に変貌してしまいます。尾上が草履の上に置いた鬼子母神へ奉納したご病気平癒の祈念の願文も、なんと姫君調伏の願書に変わっているではありませんか。
その言い訳は?言い訳なくば…と責め立てる岩藤の亡霊に、尾上は草履で打ち据えられてしまうのです。
そこへ伊達平がやってきて、朝日の尊像を拾っていたことを告げます。尾上はすぐに尊像を受け取り、岩藤の亡霊に突きつけると哀れ亡霊は白煙の中に消えます。そして岩藤の姿はガイコツへと変わり、花道へと消えると同時に荒れ果てた御殿がもとの美しい御殿へと戻るのでした。
鳥居又助内切腹の場一方、又助の家では。
求女が体調を崩して寝込んでいます。又助の弟は目が悪く近所の子供たちにいじめられたりしていますが、琴を弾いて少しずつ日銭を稼ぎ、生活を助けています。又助の妹つゆは、求女の体を治すには百両ほど必要と知り、苦界に身を沈める覚悟を決めます。
帯刀が又助を訪ねてきます。帯刀は、梅の方殺害現場にあった刀の鞘をもってきて又助を問い詰めます。又助は、自分が殺害したのがお柳の方ではなく、梅の方であることを初めて知らされたのでした。又助は、一角らに騙され、まんまと罠にはまり梅の方を殺してしまったばかりか、求女の刀で殺したことで、求女の立場をも苦しくさせてしまいました。もはやこれまでというところに志賀市が帰ってきます。無邪気にお師匠にご褒美にもらったお菓子を出し、琴を弾くから聞いてほしいといいます。
琴の用意をする志賀市、切腹の用意をする又助。
騙された経緯を帯刀、求女に語り、切腹をする又助。後にのこる志賀市とつゆのことが心残りですが、帯刀が志賀市の身を預かり、つゆは帯刀が身請けをしたのち、求女の妻にすることを約束すると、又助は安心したように死んでいくのでした。
大詰め 多賀家下館奥庭の場ついに滅びる悪の枢軸。梅の方を殺害したのは又助であるものの罠にはめたのは蟹江兄弟であること、弾正とお柳の方は実は兄妹であることも明白となり、お柳の方は懐剣を胸に突き立て自害します。弾正もついに観念し、刀を腹に突き立てます。
岩藤の霊はなおも尾上につきまといますが、鬼子母神の尊像をさしつけると、五体骸骨になり、バラバラに砕けて落ちてしまいます。と、同時に花園姫の病気もたちまち快癒。めでたしめでたしとなったのでした。
見どころ 13年ぶりの通し上演歌舞伎座での通し上演は13年ぶりとのこと。2021年8月にコロナ禍で上演されていますが、ダイジェスト版で、岩藤怪異編として、又助の話は全面カットでした。今回は又助の悲痛な思いや兄弟愛などを堪能できます。
志賀市の琴演奏志賀市は子役が琴を演奏しなければならない難役ですが、今回演じるのは種太郎クン。4年生の種太郎クン、2月は熊谷直実の遠見で、小さい直実をりりしく演じていましたねえ。実は種太郎クンのお母さまは山田流箏曲萩岡派4代目家元の萩岡松韻氏の次女。ご自身も奏者ということですから種太郎クン、がっつり特訓を受けているのでしょうか。直実の演技もよかったですが、今度は目の見えない志賀市というお役。2か月続きで大変ですが、頑張ってほしいですね。小学4年生。がんばれ。
ダイナミックな大道具美しい御殿があっという間に荒れ果ててしまったり、白骨化した岩藤の骸骨が寄り集まって亡霊として姿を現したり、ダイナミックな大道具がとても楽しいです。
また花の山では、おどろおどろしい八丁畷の場からぱっと華やかな景色へ。桜満開の中、岩藤の亡霊が花見をしながら浮遊していく様が見られます。
なぜ、岩藤の亡霊が急にメアリーポピンズみたいに傘をさして浮遊して花見をするんだ?などと深く考えずに、ふわふわを楽しみたいところです笑。
岩藤と鳥居又助は一人二役今回は、AプロBプロとダブルキャストでAプロが巳之助。Bプロが松緑。各々岩藤の霊と鳥居又助の二役を演じます。
二代目尾上はAプロが時蔵、Bプロが萬壽です。
時蔵は萬壽の長男なので、負けられないと今から闘志を燃やしているよう。
「父には絶対負けないという強い気持ち」
https://www.kabuki-bito.jp/news/9913/
ベテランのBプロ。若手のAプロで、見比べも楽しめそうです。
岩藤と尾上の最初の対決はこちら!
munakatayoko.hatenablog.com