【後継形式は?】相鉄8000系,9000系 2030年までに一部代替
相模鉄道は2024年6月27日に実施した株主公開において、今後は既存の8000系・9000系の置き換えを進め、2030年にYOKOHAMA NAVY BLUEへの統一完了を目指す方針であることが明らかになり注目を集めています。
8000系の大勢と9000系の一部が2030年までに姿を消すことが確実となる内容で、今後の動向が注目されます。
目次- 相鉄のDNAを継いだ8000系・9000系
- 既存車のYNB化について言及
- 代替車両はどうなる?
- 東横線方面〜東上線直通の拡大
- 目黒線直通〜2024年改正での増発分の延長
- JR線直通〜直通拡大は期待出来ないが
- 過去関連記事
相鉄のDNAを継いだ8000系・9000系
相模鉄道ではこれまで都心直通計画を進めるにあたり、JR東日本E231系に準じた相鉄10000系を皮切りに、保安装置や列車無線についてもJR東日本仕様のものを採用しています。
11000系もE233系に準じた仕様、12000系ではJR線直通に使用する車両として車体はE235系・走行機器類はE233系をベースとした車両を採用している一方で、東急線直通用の車両として地下鉄の規格に準拠した20000系・21000系も投入する格好となりました。
20000系・21000系の投入にあたっては、VVVFインバーター制御を採用していて車齢も若めだった8000系・9000系の一部も代替対象とされており(過去記事)、1992年以前に製造された編成が対象とされています。
都心直通用の車両投入と並行して実施された既存の自社線用車両の代替により、2024年度現在では大手私鉄でもトップクラスに車齢平均が若い鉄道事業者となっていましたが、同時に実施されるはずだった既存車のリニューアル工事はメニューの簡素化がされる動きもあり今後が注目されていました。
2024年に入って10000系でリニューアルを再開する動きがあった一方で、8000系では自動放送対応・前面形状の変更といった限定的な内容となっています。
8000系・9000系はそれまでの相鉄の特徴的な設計を色濃く残した車両で、自動開閉機構を搭載した側面窓や直角カルダン駆動方式、ディスクブレーキといった個性の強い車両です。
製造メーカーの違いで2形式が並行投入された点も大きな特徴となっています。
(参考)並行投入された8000系・9000系の現状
製造年 8000系 9000系 新製時の年次変化 19908701×1019918702×108703×1019928704×10〜8706×109701×10運用番号表示器マグサイン化19938707×109702×10車椅子スペースを8000系にも19948708×10行先表示器LED試験採用補助電源装置にSIV採用19958709×109703×10行先表示器LED採用19968710×109704×109705×10車内案内表示器変更19978711×10内装レイアウト小変更(8000系)19988712×10シングルアームパンタ19998713×109706×108713Fは3000系の事故代替ドアエンジン変更2000新規製造なし20019707×10以降は10000系に移行青文字は現時点で塗色変更・赤字は東急直通開始前に退役既存車のYNB化について言及
6月27日に実施された相模鉄道の株主総会参加者によると、車両のYOKOHAMA NAVY BLUE塗装への統一は2030年に完了する計画である旨の回答があったとのことです。
今後は10000系・11000系の車体塗装と8000系・9000系の代替を進めるとしています。
この内容から、少なくとも現行塗装のまま運用されている8000系5編成の退役と、10000系8編成・11000系5編成の車体塗装が2030年までに完了することが読み取れる内容です。
一時的な形態で見納めとなった“半更新”スタイルの10000系10000系については、1編成目となる10701×10(いわゆる10701F)が機器更新工事ののちに車体塗装を実施した(過去記事)一方で、2,3編成目となる10702×10・10703×8は機器更新工事と前面灯火類の更新に留まった状態で営業運転に復帰(過去記事)していました。
2023年には10704×8が再び機器更新工事とともに車体塗装を実施する当初の体制に戻されています。
相鉄10000系の機器更新工事はこれまで毎年1編成程度のペースで進行しており、今後も10000系で機器更新工事未施工となっている4編成についても、再び機器更新工事と並行してリニューアルが施されることが想像されます。
2024年の設備投資計画では10000系3編成の塗装変更を実施するとしています。
2編成の中途半端なスタイルの10000系についても2024年に入って相次いで入場し、車体塗装が施工されています。
これら10702×10・10703×8の塗色変更は2024年度の3編成に含まれているものと考えられますので、もう1編成の機器更新工事と塗色変更が実施されそうです。
今後は10000系を毎年1編成ずつ機器更新・塗色変更をしつつ、11000系については塗色変更のみを先行させる格好でしょうか。
代替車両はどうなる?
東横線直通用の20000系現在の相鉄では、自社線用の8両編成・自社線用の10両編成・目黒線直通用の8両編成・東横線直通用の10両編成・JR線直通用の10両編成と5種類の車両が在籍しています。
8000系・9000系の代替は既存形式の増備とするのか、新形式を起こすのか。相鉄線内専用車として投入するのか、引き続き直通対応車両とするのか、直通対応車とする場合はどの路線への直通を見込んだ車両とするのか……断片的な情報ゆえに、さまざまなパターンが想像されます。
今後の投入車両がどのような仕様で登場するかは、直通先事業者のファンにとっても大きな注目ポイントとなりそうです。
相鉄は終着駅の設備がやや貧弱で、海老名駅・湘南台駅は1面2線となっています。
また、車庫が本線側のかしわ台にあるためいずみ野線側で車両交換をする場合は単純な処理ができず、前後列車の行き先・種別などを調整しながら実施されます。
現状では他社線からの遅れを種別格上げ・途中駅折り返しで遅延を最小限に戻していることが多いですが、直通対応車両が増えて運用変更の柔軟性が向上した方が合理的であることは想像に難くありません。
搭載機器が増えることでコストが増大するデメリットと、運用の柔軟性の向上というメリットをどのように考えているのかが気になるところです。
新横浜線開業・目黒線系統の8両化推進にあたっては、事業者によって期待度の違いが色濃く出ている状態でした。
特に車両改造については、JR仕様の保安装置類を採用し、機器搭載スペースやコストが嵩む相鉄線への直通対応には各社局とも消極的な状況です。
新横浜線への熱量が意外と高い東武鉄道も狙いは新横浜駅までの需要開拓で、新横浜駅への直通列車は欲しいがそれ以遠への需要は想像しにくかったのか、相鉄直通対応改造は見送られました。
車両運用では間に挟まれた東急電鉄が割を喰っている状態で、車両運用上の大きな制約となっています。
2030年ごろとなれば都営6300形3次車の代替(=6500形への統一)・東武9000系の代替(=90000系?)など土壌が整ってくる状態ですので、都心直通に一番こだわっている相模鉄道にとっても東急直通の運行本数・直通区間の拡充なども視野に入ってきそうです。
投入ペースとしては直通対応のために投入を急いだ時期以前に回帰し、年間1〜2編成程度の増備を続けるスタイルに落ち着きそうです。
東横線方面〜東上線直通の拡大2023年3月開業から現在まで、東急電鉄5050系4000番台を使用した川越市駅〜湘南台駅間の列車と、相鉄20000系を使用した和光市駅〜湘南台駅間の列車がそれぞれ1時間に1本程度設定される日中パターンが組まれています。
東上線のダイヤ改正においては、従来からの副都心線〜東横線直通と有楽町線直通をそれぞれ毎時2本残しつつ、新たに毎時1本の相鉄線直通を設ける格好となりました。
今後の直通運転拡大策として、現行の和光市駅〜湘南台駅間で運行されている列車を川越市駅始終着に延長するために20000系を数編成増備・東武鉄道の9000系後継車とともに相互直通運転を拡大。従来は1時間に1本が基本形となっている東上線への直通列車を30分ヘッド化するテコ入れはあっても不思議ではありません。
東武東上線のダイヤを見ても、1時間に1本の湘南台駅発着列車は池袋駅〜川越市駅間で1時間に1本走る各駅停車を代替する(池袋駅〜成増駅間に置き換え)だけで設定可能な構成で、車両側さえ整えばいつでも直通列車に変えられる状態です。
東武鉄道の新横浜直通への意気込みがどの程度なのかは未知数ですが、東上線からの地下鉄直通列車増強は東武鉄道側の地下鉄直通対応車両数が増えない限り実施不可能です。
どちらかといえば東武鉄道側の熱意次第といった印象を受けます。
目黒線直通〜2024年改正での増発分の延長東急目黒線からの新横浜線直通列車は、2024年3月改正で日吉駅〜新横浜駅間の増発が実施されています。
相鉄が更なる新横浜線強化を目指すのであれば、新横浜駅折り返しの列車を西谷駅まで延長する施策も考えられます。
特に新横浜駅〜羽沢横浜国大駅間のダイヤについては、JR線直通が挟まる時間帯に穴が空く構成となっています。
この日中20分間隔となっている箇所を是正するための調整を加えるのであれば、21000系の更なる増備となりそうです。
一方で、相鉄線内運用車両としては狭幅8両編成の21000系の輸送力には課題が残りますので、全てを21000系で置き換えとすることは難しそうです。
JR線直通〜直通拡大は期待出来ないが直通列車の設定本数増加や、相鉄が以前から望んでいる品川・東京駅方面への運行などをJR東日本側が望む可能性は今後も極めて低い状態で、一見すると12000系の増備が一番考えにくいようにも思えます。
一方で、相鉄にとっては朝ラッシュ時間帯の横浜方面の混雑緩和は西谷駅〜二俣川駅間の複々線化でもしない限りは現状不可能で、現状で打てる手のなかで横浜方面の利用客による西谷駅以東の混雑緩和を目指すのであれば、自社線内向け車両としては輸送力で一番優れているJR線ベースの車両投入が理想なはずです。
E233系の相鉄線内留置車両数が多いことから、直通運転用の車両としては輸送障害時の対応がJR車で調整可能ですので、直通運転準備工事に留めた12000系……といった車両が登場しても不思議ではありません。
また、JR線直通を後継形式の13000系に代替して、12000系を自社線用とする動きも考えられます。
12000系は車体はE235系・走行機器はE233系といった構成で、今後りんかい線でE235系ベースの車両代替が実施されるのであれば、相鉄自身もE235系ベースで最新鋭の走行機器類を装備した車両の投入土壌が整うこととなります。
いずれの形態が増備されても不思議ではない相鉄の新製車両。どのような布陣となるのか続報を待ちたいところです。