【画像処理】周波数フィルタリング_ローパス/ハイパス/バンドパス/広域強調フィルタ
目次- 1. 周波数フィルタリング
- 1.1. 空間フィルタリングとの関係
- 2. 周波数フィルタリング
- 3. ローパスフィルタ、ガウス型ローパスフィルタ
- 3.1. ローパスフィルタ
- 3.2. ガウス型ローパスフィルタ
- 4. ハイパスフィルタ、ガウス型ハイパスフィルタ
- 4.1. ハイパスフィルタ
- 4.2. ガウス型ハイパスフィルタ
- 5. バンドパスフィルタ
- 6. 高域強調フィルタ
- 7. 各フィルタの比較
- 8. おすすめ参考書
周波数フィルタリング
フーリエ変換の結果は、画像に含まれる周波数成分を示しています。この周波数成分を調整することで、画像の特性を変更できる。この処理を 周波数フィルタリング(Frequency Filtering) と呼びます。
【画像処理】2次元フーリエ変換と周波数フィルタリング周波数フィルタリングは以下の式で表されます。
$$G(u, v) = F(u, v) H(u, v)$$
ここで、\(H(u, v)\) は周波数フィルタであり、入力画像の各周波数成分 \(F(u, v) \)に対して掛け算が行われ、フィルタリング後の出力 \(G(u, v)\) が得られます。フィルタリング後の画像を得るには、\(G(u, v)\) に対して逆フーリエ変換を適用する必要があります。
空間フィルタリングとの関係空間フィルタリングと周波数フィルタリングは数学的に密接な関係を持ちます。特に、フーリエ変換の以下の性質を利用すると、 $$\mathcal{F}\{ f(x,y) * h(x,y) \} = \mathcal{F}\{ f(x,y) \} \cdot \mathcal{F}\{ h(x,y) \}$$
- ∗* はたたみ込み積分(Convolution Integral)を表す。
- 空間領域でのフィルタリングは、周波数領域では単純な掛け算に対応する。
この性質により、大きなフィルタを適用する場合には周波数フィルタリングのほうが計算コストが低くなります。一般的に、
- 小さいフィルタサイズ → 空間フィルタリングが有利
- 大きいフィルタサイズ → 周波数フィルタリングが有利
このように、画像処理において適切なフィルタリング手法を選択することが重要です。
この変換によって、画像の低周波成分(滑らかな変化)と高周波成分(エッジやノイズ)を分離できます。
周波数フィルタリング
周波数フィルタリングとは、特定の周波数成分を強調または抑制する手法です。目的に応じて以下のようなフィルタが使用されます。
- ローパスフィルタ: 低周波成分を通過させ、高周波成分を抑制する。
- ハイパスフィルタ: 高周波成分を通過させ、低周波成分を抑制する。
- バンドパスフィルタ: 指定した範囲の周波数成分のみを通過させる。
ローパスフィルタ、ガウス型ローパスフィルタ
ローパスフィルタローパスフィルタは、低周波成分を残し、高周波成分をカットするフィルタです。画像を滑らかにする(ぼかす)効果があります。
下の図は、ローパスフィルタを適用した際の画像とその周波数スペクトルの変化を示しています。
各フィルタ適用結果の画像は以下のような構成になっています:
- 左上:オリジナル画像(空間領域)
- 中央上:フィルタの1次元プロファイル(v=0 の断面)
- 右上:フィルタ適用後の画像(空間領域)
- 左下:オリジナルの周波数スペクトル(フーリエ変換)
- 中央下:フィルタの2次元分布(周波数領域)
- 右下:フィルタ適用後の周波数スペクトル
特徴:
- 低周波成分を通過させ、高周波成分を除去 するフィルタ
- 画像のエッジや細かいディテールをぼかす効果がある
フィルタの形状:
- 中心が黒(1)、周辺が白(0) の形
- 理想的なローパスフィルタでは、高周波数成分が完全にゼロになる
フィルタ適用後の画像:
- ぼやけた画像 になっている
- エッジが消え、細かいテクスチャが抑えられてる
ガウス型ローパスフィルタは、ガウス関数を用いたスムーズなカットオフを行うフィルタです。
特徴:
- 低周波成分を強調し、高周波成分を除去 するフィルタ。
- 画像のエッジや細かいディテールをぼかす効果がある。
フィルタの形状:
- 中心部分が高い値(白)、周辺部が低い値(黒) となるガウス分布の形状。
- 高周波成分をスムーズに抑制する。
フィルタ適用後の画像:
- ぼやけた画像 になっている。
- エッジが消え、スムーズな領域が強調されている。
ハイパスフィルタ、ガウス型ハイパスフィルタ
ハイパスフィルタハイパスフィルタは、高周波成分を残し、低周波成分をカットするフィルタです。画像のエッジを強調する効果があります。
特徴:
- 低周波成分を完全にカットし、高周波成分のみを強調 するフィルタ。
- エッジを強調するが、不自然なノイズ やギブス現象(リンギングアーティファクト)も発生しやすい。
フィルタの形状:
- 中心が黒(0)、周辺が白(1) の形。
- 理想的なハイパスフィルタでは、カットオフ周波数より低い成分が完全にゼロになる。
フィルタ適用後の画像:
- エッジ部分が強調されるが、ノイズも目立つ。
- エッジ以外の領域が黒くなる。
ガウス型ハイパスフィルタは、ローパスフィルタの逆バージョンであり、低周波成分を抑える形で定義されます。
特徴:
- 低周波成分を緩やかに抑制し、高周波成分を強調 するフィルタ。
- エッジ強調の効果があるが、理想的なハイパスフィルタよりも滑らか。
フィルタの形状:
- ガウス分布の逆の形(中心が低く、周辺が高い)。
- 急激なカットをせず、なめらかに高周波成分を強調 する。
フィルタ適用後の画像:
- エッジが強調されるが、自然な仕上がり。
- 理想的なハイパスフィルタよりもノイズが少ない。
バンドパスフィルタ
バンドパスフィルタは、特定の周波数範囲を通過させ、それ以外の周波数成分を除去するフィルタです。
特徴:
- 特定の周波数成分のみを通過させ、それ以外を除去 するフィルタ。
- 低周波と高周波の両方をカットし、中間の周波数を強調。
フィルタの形状:
- 中心部分と周辺部分が黒(0)、中間周波数の部分が白(1) 。
- ちょうど中間の周波数帯だけを通過させる。
フィルタ適用後の画像:
- 特定のパターンやテクスチャが浮かび上がる。
- 低周波と高周波をカットしているため、エッジが強すぎず、かつボケすぎない
高域強調フィルタ
高域強調フィルタは、画像の低周波成分は保ちつつ、高周波数成分を強調するフィルタです。
特徴:
- 低周波成分を抑えつつ、高周波成分を元画像に加えることで、画像全体のシャープネスを向上させる。
- 通常のハイパスフィルタよりもエッジだけでなく全体のコントラストが向上する。
- アンシャープマスキング(Unsharp Masking)に似た効果。
フィルタの形状:
- ガウス型ローパスフィルタを引き算し、高周波成分を加算する設計。
- エッジを強調しつつ、ノイズの増加を抑えた設計。
適用後の画像:
- 元画像よりもくっきりとしたシャープな仕上がりになる。
- エッジが際立つが、過度に適用するとノイズやリンギングが発生する