絵本とむかしばなし
絵本とむかしばなし

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お腹いっぱいの楽しい昔話

明るくあっけらかんとしたイタリアの昔話です。 

            

読み聞かせ目安  中学年  10分

あらすじ

 むかしむかし、イタリアのカラブリアという町に、ストレガ・ノナという魔法使いのおばあさんが住んでいました。

町の人たちは、ノナばあさんのことをひそしそ噂しましたが、困ったことがあるとみんな、ノナばあさんのところへ相談にいくのです。神父様や修道女様までも。

 

そんなノナばあさんも、年を取ってきたので、お手伝いさんを雇うことに。

そこでやってきたのは、うっかりものののっぽのアンソニイ。

ノナばあさんは、アンソニィに掃除や草むしり、皿洗いにヤギのえさやり、ミルク絞りなどあれこれ任せました。

けれどもただひとつ、スパゲッティを茹でる窯だけは、触ってはいけないと言い聞かせました。

 

そんなある日の夕暮。アンソニイはストレガ・ノナがスパゲッティの窯の前で、歌っているのを聞くことに。

 

「にえたて にえたて わたしのかまよ ほかほか おいしい スパゲッティゆでろ おなかは ペコペコ さあ たべよう たっぷり ゆでて ごちそうしてね」

 

ノナばあさんがこう歌うと、窯はぶくぶく煮え立って、スパゲッティでいっぱいになりました。

次に、ノナばあさんは、

 

「はい けっこうよ もういいよ ほかほか おいしい スパゲッティできた しずまれ わたしの ねんどのかまよ このつぎ おなかを すかすまで」

 

と歌います。アンソニイはびっくり仰天。いつか自分もスパゲッティをたっぷり茹でて、自分をバカにする町のみんなをびっくりさせてやろうと考えます。

 

そして・・・チャンス到来!ノナばあさんの留守のときに、アンソ二イはスパゲッティを茹で始めます。

 

「にえたて にえたて わたしのかまよ ほかほか おいしい スパゲッティゆでろ おなかは ペコペコ さあ たべよう たっぷり ゆでて ごちそうしてね」

 

窯はぶくぶく煮え立って、大成功!!スパゲッティが出て来る出て来る!

アンソニイは、町のみんなにスパゲッティをごちそうして上機嫌です。

町中の人たちがお腹いっぱいになったので、それからアンソニイは、

 

「はい けっこうよ もういいよ ほかほか おいしい スパゲッティできた しずまれ わたしの ねんどのかまよ このつぎ おなかを すかすまで」

 

と歌って、窯に仕事をやめさせようとしました。・・・ところが・・・

窯は仕事をやめません!!アンソ二イは、大事な所を見逃していたのです。ノナばあさんが歌の終わりに、窯に3回キスするところを!!

 

スパゲッティは、窯からあふれ、家中にあふれ、外にあふれ出て、町中へ・・・。

アンソニイが、何度歌ってもダメです。窯を持ち上げても、蓋をしても、どんどんスパゲッティはあふれてきます。

とうとう町中の人が逃げ出す始末!!

 

そこへ、ノナばあさんが帰ってきて、歌を歌い、3回キスすると、やっとスパゲッティは止まりました。

 

町中の人は、ノナばあさんに感謝し、アンソニイはその罰に、町中のスパゲッティをぜんぶたった一人で食べることになりました。

                      

 読んでみて…

 イタリアに古くから伝わる昔話を、絵本にしたものです。

 

類話としては、グリムの「おいしいおかゆ」がすぐに頭に浮かぶのですが、ヨーロッパには各地に、こういったお話があるのでしょうか。

 

昔話は、飢餓の文学とか空腹の文学という側面がありますが、飽食の現代とは違って、日々食べるのに必死だった昔の人たちにとって、お腹いっぱい食べるということは、限りない夢、憧れだったのでしょう。

 

でも、その欲望をむやみに満たそうとすると痛い目に合うというお話の形象は、欲望しつつも節制する、食欲をコントロールする、せざるを得ない生活の知恵から生まれたものなでしょうか。

 

グリムの「おいしいおかゆ」では、町中がおかゆだらけになったのち、最後、

 

「でも、この町に帰ってくるひとたちは、じぶんのとおる道を、ぱくぱく、たべて、たべぬけなければなりませんでしたとさ。」(『子どもに語る グリムの昔話1』こぐま社  1990.10.25)

 

となっていて、なんだか怖い・・・。鮮烈なイメージが浮かびあがってくるのに対し、この『まほうつかいのノナばあさん』は、実にあっけらかんとしています。

 

町をスパゲッティだらけにしたアンソニイを、町の人は「しばりくびに してしまえ」といいますが、ノナばあさんの

 

「おしおきは しでかしたことに ふさわしいもので なくちゃね」

「いいかい アンソニイ、おまえは わたしの まほうのかまから スパゲッティを だしたかったんだろう。このわたしは こんやは ゆっくり ねむりたいん だよ。さあ、えんりょなく たべはじめておくれ」

 

という言葉で解決していて、状況的にはグリムと変わらないのに、さっぱりとしていて怖くない。やはりイタリアの陽気なお国柄なのでしょうか。

 

絵も、明るく、すこしくすんだパステル調で、単純化したフォルムで描かれており、陽気で楽しい雰囲気に仕上がっています。ですが、決してふわふわした可愛いばかりの絵ではなく、中世のイタリアの雰囲気も十分に伝わってくる素敵な絵本です。

 

昔話には各地に類話があり、似ている話、ほとんど同じ話でも、伝わってくる雰囲気やイメージがずいぶん異なってくるものがあります。それぞれのお国柄、民族性が現れていて、とても面白いところです。甲乙つけるのではなく、いろいろなものがあること、いろいろな味わいがあることも、子どもたちに伝えていきたいなと思います。

 

今回ご紹介した絵本は『まほうつかいのノナばあさん』

トミー・デ・パオラ作・絵  ゆあさふみえ訳

1978.2  ほるぷ出版  でした。

まほうつかいのノナばあさん トミー・デ・パオラ/湯浅フミエ ほるぷ出版 1978年02月売り上げランキング : 楽天ブックスで購入 Amazonで購入 by ヨメレバ

「おいしいおかゆ」はこちらが↓読みやすく語りやすいです。(絵本ではありません。)

子どもに語るグリムの昔話(1) ヤーコプ・グリム/ヴィルヘルム・グリム こぐま社 1990年10月売り上げランキング : 楽天ブックスで購入 Amazonで購入 by ヨメレバ

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