地震発生直後:3842人の意外な死因「なぜ、圧死(即死)はわずか8%だったのか」【阪神・淡路大震災25年目の真実❷】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)
地震発生直後:3842人の意外な死因「なぜ、圧死(即死)はわずか8%だったのか」【阪神・淡路大震災25年目の真実❷】あなたと愛する人の命を守るためのメッセージ②
政治・経済 2020.01.14文:NHKスペシャル取材班/構成『BEST TIMES』編集部/写真提供:神戸市
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地震直後の最初の1時間でいったい何が起きていたのか。阪神・淡路大震災が発生した1995(平成7)年1月17日は、3連休が明けた火曜日だった。この日から再び職場や学校へ戻るという人も、発生時刻の早朝5時46分には大半が就寝中だった。それだけに目覚めたら瓦礫の下にいた、という人は少なくない。
神戸市東灘区本山南町付近/写真提供:神戸市この1時間で、3842人の方が亡くなっていた。 これは、地震当日に亡くなった人(5036人)の、実に76%に当たる人数だ。実に、4人に3人が、最初の1時間で命を落としていることになる。検案書(死亡診断書)のリストを見てみると、「死亡時刻」の欄で最も多いのが「5時46分」、「即死」という記載。次いで「5時50分」、「6時00分」などが続く。いずれも、遺体を検案した医師が、短い時間で死に至ったと判断するような状態であったことが分かる。 いったい、何が起きていたのか。 手がかりは、建物の被災度を表す44万棟のデータにあった。1時間以内の犠牲者がいた場所と、建物の被害程度を色分けした地図を重ね合わせると、ほとんどの場合で、「全壊」と分類された建物があった位置と一致したのだ。 つまり、自宅が全壊することで多くの命が奪われていたことが分かる。
◆6割に共通した意外な死因——「窒息」その死因を分析すると、意外な事実が分かってきた。 当日、1時間以内に亡くなった人の検案書の「死亡の原因」欄を見ていくと、最も多かったのは全体の9割を占める「圧迫死」であった(図1参照)。ここまでは聞いたことがある人も多いと思う。圧迫死とは、身体が何かに強く挟まれるなどしたことが原因で死に至ることを指す。ただ、この圧迫死は大分類にあたり、実は、さらに詳細な小分類の死因があった。「圧死」と「窒息死」である。 まず、「圧死」とは、重量物や強力な力で身体全体が押しつぶされ、全身骨折や内臓破裂などをともなって死に至ることを指す。圧死は、短時間で身体機能が「不可逆的な(後戻りできない)状態」、すなわち、どんな応急治療も蘇生措置も効かなくなる状態に至るため、いわゆる「即死」となる。 建物の下敷きになって亡くなる、イコール「圧死」、というイメージは一般的に強い。 取材を始める前は、10万棟以上の建物が全半壊した阪神・淡路大震災では、〝圧死〞が大多数であろうと漠然と考えていた。 ところが「圧死」は、検案書のリストを詳しく見ると、1時間以内の「圧迫死」全体のうち、わずか8%を占めるに過ぎなかった。
一方、1時間以内の「圧迫死」のうち、 過半数の61%を占めたのが「窒息死」だった。窒息死とは文字通り呼吸が徐々にできなくなって死に至ることを指す。検案書のリストによると、実に2116人もの人が「窒息死」となっていた(図2参照)。
これは驚きだった。地震と窒息がどう結びつくのか、容易には想像がつかなかった。窒息の原因と言えば、鼻や口を押さえつけられるか、または、餅などが喉に詰まって起こる例しか思い浮かばなかった。どうやって、それと同じようなことが地震で起きるのか、それともほかの原因があるのだろうか。見当もつかなかった。 同じ大分類の中にある、「窒息死」と「圧死」だが、大きく違うのは死に至るまでの時間だ。圧死と違って「窒息死」は瞬間的には起こらない。基礎医学の教科書などによると、一般的に成人の場合、呼吸が止まって3〜5分経った後に、脳に不可逆的な損傷が生じ、 その後、窒息死に至るとされている。
つまり、阪神・淡路大震災で「窒息死」とされた2116人の人たちは、地震からある程度の時間は生存していた可能性があることになる。 取材を進めると、その事実を裏付ける様々な証言に出あうことができた。同時に、それは、地震がもたらす窒息死の過酷さを物語るものだった。
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都市直下地震で人はどのように命は奪われるのか
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阪神・淡路大震災 21年目に初めて明らかにされた 当日亡くなられた5036人の「死体検案書」のデータ。 死因、死亡時刻を詳細に記したデータが物語る「意外な」事実。 一人ひとりがどのように死に至ったのか。 「震災死」の実態をNHKの最新技術(データビジュアライゼーション)で 完全「可視化」(巻頭カラー口絵8P) 震災死の経過を「3つの時間帯」で検証した。 ********************************** 【3つの時間帯とその「意外な事実」】 21年間「埋もれていた」5036人の死因、死亡時刻を詳細に記した検案書データ。 そこには地震発生から「3つの時間」経過とともに 犠牲者の実像、その「意外な事実」が明らかにされた。 1 地震発生直後:当日亡くなられた76%(=3842人死亡)の死因 なぜ、圧死(即死)はわずか8%だったのか! 2 地震発生1時間後以降:85人の命を奪った「謎の火災」の原因 なぜ、92件の火災が遅れて発生したのか! 3 地震発生5時間後以降:助けを待った477人が死亡した理由 なぜ、救助隊は交通渋滞に阻まれたのか!
本書はこの「3つの時間帯」で起こった意外な事実を科学的に検証。 浮き上がった「命を守るための課題」と「救えた命」の可能性を探るとともに 首都直下地震など、次の大地震に向けた対策を提示する。
【目次】
カラー口絵 序 章 5036人の死 そこには救えた命があった 第1章 命を奪う「窒息死」の真相 自身発生直後 第2章 ある大学生の死 繰り返される悲劇・進まない耐震化 コラム1 被害のないマンションでも死者が 現代への警告 第3章 時間差火災の脅威 地震発生から1時間後以降 第4章 データが解き明かす通電火災21年目の真実 第5章 通電火災に備えよ コラム2 〝命の記録〟を見つめる 新たな分析手法と防災 第6章 渋滞に奪われた命 地震発生から5時間後以降 第7章 いまだ進まない根本的対策
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