角田裕毅、“センサー”を頼りに生き抜いた極限バクー…大波乱予選の舞台裏と、決勝への新たな気構え
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP予選は、史上最多となる6度の赤旗が出る前代未聞の大荒れとなった。バクー市街地コースの狭いセクションと突風、そして小雨が生み出した極限状況の中、角田裕毅(レッドブル)は冷静さを失わなかった。
セッション全体を通じて突風や急激な風向きの変化がドライバーを翻弄し、多くがバリアに接触。Q1、Q2、Q3それぞれで複数回の赤旗中断が発生し、限られた走行時間の中での勝負となった。
「サイコロを振るような感覚」− 変化し続ける風との戦い
「本当に簡単ではありませんでした。多くのドライバーがまとめ上げるのに苦労していたと思います。この手のサーキットでは黄旗や赤旗が出る可能性が大きいため、完璧なアウトラップがなくても、とにかく一周一周が大事なんです」と角田は振り返る。
バクー特有の突風は、この日とりわけ過酷なコンディションを作り出した。
「本当にサイコロを振っているような感覚でした。まったく同じブレーキングポイントでも、1周ごとに状況が変わっていて、簡単にオーバーシュートしてしまうことがあります。減速の感覚も毎周、違うんです」
風の影響で最適なブレーキングポイントが常に変化する中、角田は慎重かつ大胆なアプローチを選択した。
「サイコロを振るような感覚でありつつも、ブレーキングをコントロールしながら、限界まで攻めすぎないようにする。その微妙なバランスを取るのが、この予選で特に難しい部分でした」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
バクー市街地コースを走行する角田裕毅のレッドブルRB21、2025年9月20日(土) F1アゼルバイジャンGP FP3
赤旗連発でも「センサー」を信じ抜いた走り
史上最多の赤旗中断という異常事態の中、角田は独自の哲学で臨んだ。安全策を取る選択肢もある中、角田は攻めの姿勢を崩さなかった。
「そういう状況では自分の本能を信じるしかありません。それが一番大事なセンサーなので」
「最終的に信じられるのは、自分の才能や経験であり、前のラップで感じたことです。同時に、自分自身を信じることも大切ですし、赤旗などで待ち時間が多い中、その時間をどう有効に使うかも非常に重要でした」
その冷静な判断力が、全ラップをクリーンに走り切るという収穫につながった。
「少なくとも全てのラップをクリーンに走れたことが、今回の予選で一番ポジティブなことでした」
一転、ショートランで満足の走りができず
一方で、これまでの数戦とは対照的に、一発の速さを競うショートランで最大限のパフォーマンスを引き出せなかった。レッドブル昇格後最上位となる6番手をマークしたとは言え、角田にはやり切れなかったという悔いが残った。
「パフォーマンを最大限に引き出せなかったのが残念です。C6(最もソフトなタイヤコンパウンド)をうまく機能させるのにかなり苦労しました」
「おそらくどのチームも苦労していたと思いますが、中には最後のQ3で本当にうまくまとめたドライバーもいました。ただ、自分はそこまでやれませんでした」
新フロア投入―新たな武器を手に決勝へ
今週末最大の収穫は、新型フロアの導入だ。これまでRB21の特性に苦戦してきた角田にとって、日曜のレースはターニングポイントとなる可能性を秘めている。
「間違いなく、このフロアは大きな前進に繋がっています。これまでの週末と比べて一番大きな改善があったのはロングランでした」
特筆すべきは、マシンの進歩と並行して角田自身のドライビングスタイルも進化していることだ。
「それはクルマだけでなく、自分のドライビングスタイルの成果でもあります。先週はロングランを上手くやるために懸命に取り組んできました」
結果こそ本人にとっては不本意なものとはなったが、日曜のレースは表彰台まであと3つの6番グリッドからのスタートとなる。ロングランで新たな自信を得た角田が、決勝でどこまで順位を押し上げられるのか、注目が集まる。
「普段は『タイヤの劣化があまり進みませんように』と願うだけですが、今回は『自信がある』という感覚で、レースに関しては前向きな気持ちです」と角田は力強く前を向いた。
2025年F1アゼルバイジャンGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にカルロス・サインツ(ウィリアムズ)、3番手にリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間9月21日(日)20時にフォーメーションラップが開始され、1周6003mのバクー市街地コースを51周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。
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