【家族ゲーム】第9話 感想
今、先生にもらったお守りを握り締めてるんだ。このお守りにお願いしてもいいかな?
もう二度と…。僕みたいな弱い人間が生まれませんように。
もう二度と…。吉本みたいな怪物が生まれませんように。
家族ゲーム 第9話
「沼田慎一。平成9年11月14日生まれ。AB型。」「幼いころから優等生を演じていた。全ては親の期待に応えるためだった。」「文武両道。仲間に信頼されカワイイ彼女もいて、いつの間にか俺自身も本当の自分を見失っていた」「そんなときだった。吉本荒野に出会ったのは。」
「吉本は初めから俺の本性を見抜いていた。」「とにかく、あいつの存在がうっとうしかった」「俺は、吉本を辞めさせるために人殺しの過去を暴いたが、家族は俺より吉本を選んだ」「唯一信じていた立花真希も吉本とグルだった」
「吉本は、散々もてあそんだ揚げ句、まるで遊び飽きたおもちゃのように、俺たち家族を 捨てて姿を消した」
「残された俺たちは、互いの責任をなすり付けて、文字通り崩壊していった。」
「俺は高校を辞めて、怠惰な日々を過ごしていた。」
「こんなはずじゃなかった」「あいつがいなければ、俺は東大目指して頑張っていたんだ」
「あいつが全てを奪ったんだ」
「全てをあいつが…」
沼田家崩壊の翌朝。
どの部屋もカーテンを閉めっぱなしで過ごした。
誰も家族の他の人間をもう気にもかけない。言葉も交わさない。
ただ…
一茂はサウナで、つい自分の左隣を空けて座っている自分に気づく。
佳代子は、あの日、絶望して自殺しようとしていたバスルームをぼんやり眺める。
茂之は問題集につけられた〇×を眺めていた。自分の周りに集まってきた友達の写真も…。
慎一は、机の引き出しを開けた。あの日、吉本の腕に突きたてたナイフを取り出す。
佳代子はキャリーバッグに服や私物を詰め込んで家を出た。誰も佳代子を止めなかった。
一茂は、ハローワークに行くためにスーツで家を出た。
茂之は学校へ行った。自分自身で得た友・ソノちゃんがメールをくれたから。
慎一を訪ねて飛鳥がやって来た。
床には割れた食器やゴミが散乱し、窓や壁は壊れ、ペンキで落書きだらけになった家の中を見て目を丸くする飛鳥。
辞めちゃったんだね。みんな、びっくりしてたよ。
そう言って、飛鳥は慎一に例の万引き写真を渡した。
何でこれ先生に渡さなかったの?
渡すわけないじゃん。好きなんだから。吉本も私が渡せないって分かってたんだと思う。
じゃあ何でこんな物…。
試したんじゃないかな。私ならどうするって。それを見てもまだ好きでいられるのか。それを見ても慎一を止めてやれないのか。
違うよ。
きっと吉本には吉本の考えが…。
何も知らないクセに吉本を庇うような事を言う飛鳥が慎一には無性に腹が立つ。押し倒して乱暴してやろうとした。
けれども…叫ばれて思いとどまる。
自分が情けない。
ポケットにあのナイフを忍ばせて、慎一は家を出た。
吉本のアパートを見つけて、無理やりドアを開け、中に入った。殺風景な部屋の中に、たくさんのチラシ。
その中から、慎一は信じられない物を見つける。
それは。劇団の公演チラシだった。
写っている役者の中にいたのは、あの真希…。
劇団に行ってみると、真希があの時持ってきたビデオの中で『「田子雄大」の過去を語っていたかつての同僚たち』も劇団の中にいた。
慎一たちは仕組まれた芝居を見ていたのだ。
まあ一言で言うと全部嘘。私の名前は水上沙良。
立花真希、改め水上沙良は、悪びれもせずに自己紹介した。言うまでもなく、今までの事は全て芝居だった。
で、あなたが知っている田子雄大の過去も全部、嘘。ごめんちゃい。許してくれる?
ふざけて手を合わせる水上沙良に慎一は田子の居場所を聞いた。
さあ?私も知らない。
しらばっくれんな。
ホントだって。私だって今回初めて手伝ったんだもん。っていうか、会うのも8年ぶりだったし。
田子とあんたはどういう関係なんですか?
ポケットからナイフが見えている事を指摘する沙良。
まあ、殺したい気持ちは分からなくもないけど全部君たちを思ってやったんだよ。
よく言うよ!家族を壊しておいて。
そっちこそ私たちのこと何も知らないくせに!
ずっとムカついてたんだよ。8年前のことがあまりにも違うから。「吉本荒野」が被害者だなんて許さない。先生は「それでもいい」って言ってたけど、私はそれじゃ納得できないの。
先生?
田子雄大と私は教師と生徒。自殺した真田宗多は私の幼なじみだったの。
沙良は話し始めた。8年前。
田子雄大と「吉本荒野」がいた中学校で起きた事を。
真田宗多と自分の身に起きた事を。
吉本荒野。教頭先生の甥っ子で、去年教育実習を終えたばかりの新人教師。東大出身でスポーツも万能。優しくてカッコイイ。口癖は「いいねえ」。
沙良は単純に中学生女子らしい憧れを若くて容姿が良い吉本荒野に抱いていた。
田子雄大は、気さくに何でも喋れる明るい教師だった。
その日、真田は田子から、頼んでいた旅行のお土産を貰った。ヒモでできた小さなお守り人形。2人が思っていたのとは全く違うデザインの物。ツアーの都合で買い物に間に合わなかったから田子が手作りしてくれたのだ。
水上の分も今日作ってあげるからな。
私いらない!恋愛成就どころか縁起悪そうだし。ほら。宗多も返しなよ。
いや。僕はこれでいい。
宗多は笑いながら手作りのお守りを受け取った。優しくて控えめな男子。
真田宗多と沙良は幼馴染で、いつも一緒に帰る仲のいい友達同士だった。
田子に貰ったばかりのお土産を学校に忘れたと、宗多は学校に取りに戻った。
そして、隣りの教室で生徒の机の中から教科書を出して刃物で引き裂いている吉本を見たのである。
おい。下校時間とっくに過ぎてんだぞ。悪い子だなあ。んっ?ほら、名前は?
吉本はニヤニヤ笑いながら宗多に近づいた。
翌日、宗多は田子にこの事を相談しようとして吉本から声をかけられ、言う事が出来なくなった。
その日から、宗多の地獄が始まった。
体育倉庫で激しく何度も吉本から暴行を食らった。他にも教師が2名一緒にいた。
教頭の甥であり、東大卒で将来は上に行くことが決まっているような吉本の脅しに逆らう事が出来ない教師たちだった。
毎晩こんなに遅くて親とか大丈夫か?
びくびくしながら強制的に虐待に参加させられた2人は親の反応を心配した。
心配いりませんよ。こいつ母親がいないんですよ。父親は毎晩残業。
おい。誰にも構ってもらえないんだよな?
万が一この傷を誰かに指摘されたら「父親に暴力振るわれてる」って言え。いいな?
宗多の家庭事情を吉本は完全に把握していた。
母親はおらず、父親は仕事ばかり。宗多は顧みられず、家庭らしい家庭ではなかった。親子の会話は無くただ共同生活をしているような状態…。
だから、暴行しても、たぶん父親には相談しない。吉本はそこまで把握していた。
しかし、そんな宗多の変化に気付いた人間がいた。
担任の田子雄大だ。
田子は元気のない宗多の様子を気にかけ、父親の虐待なら自分が話をすると言ってくれた。
心配するな。俺が守ってやるから。
そして全てを聞いた田子は吉本を呼びだした。
父親は暴力など振るっていません。真田に暴力振るっているのは…あなたですよね?
教師が生徒にいじめなんて。
嫌だなあ怖い顔して。ただのストレス解消じゃないですか。あっ、よかったら先生もやりますか?
激しい嫌悪の表情を見せる田子を吉本は笑った。
いいねえ。
田子先生は、教頭の後ろ盾を恐れて僕に付き合ってくれる丸川や西口とは違うっていうわけだ。
吉本の言う事は田子には理解できなかった。
先生。僕は生まれてこの方、挫折を知らないんです。親の期待に応えて常にヒエラルキーの頂点に君臨してきた。だから弱者の気持ちなんて分かるわけがない。
それが教育者の言うことですか?
僕は人間を支配したいんです。僕にとって教育とは実験なんです。意のままに操れる人間を育てるにはどうしたらいいか。
つまり生徒はモルモットってわけです。
本気で言ってんのか?
冗談ですよ。分かりました。もうやりません。
お願いします!
田子は、この関わりたくない男に心底腹を立てて帰って行った。
丸川先生や西口先生にも言っておきますね。
「新しいモルモットが増えた」って。
翌朝、田子が出勤すると、職員室の空気は一変していた。みんなが田子を奇異の目で見る。誰も話し掛けても答えてくれない。
教頭に呼び出されてその理由が分かった。
「田子が女生徒にいたずらをした」というチラシが学校に撒かれたのだ。
もちろん否定したが、なぜか誰も信用してくれず、噂は生徒たちにまで広がった。田子は職員室ばかりか生徒たちにまで避けられ、保護者も学校に推し掛ける始末。
吉本を問い詰めたが、彼は笑うばかりだった。
どっちの方が信頼されてるか考えてみろよ。熱血教師。
こうして、田子は学校の中で居場所を失くし、どんどん暗くなっていった。
一方で吉本はこの事を切っ掛けにますます宗多に暴力を加えていった。
思い余ってもう一度田子に相談した。
しかし、田子はもう以前の田子ではなかった。
また吉本先生が…。
そんなわけないだろ。きっとお前の思い過ごしだよ。なっ?
田子は誤魔化すように笑った。
違います。お願いです。助けてください。
問題は解決したんだよ。
本当です。信じてください。
涙を浮かべて小声で訴え続ける宗多に、田子はただ困惑していた。
少しはさ…俺の立場も分かってくれよ。
すると、宗多は涙を流して微笑んだのだ。
…ですよね。迷惑掛けてごめんなさい…。
翌日。
学校帰りの階段で、田子は吉本から呼び止められた。
田子先生。水上沙良が欠席した件でお話ししたいことが……。
田子が振り返ったその時だった。
段上にいた吉本のカバンを走ってきた宗多が勢いよく引っ張った。2人は何かを取り合って揉めているようだった。
そして、吉本はバランスを崩した拍子に階段の上から転げ落ちてきた。
突然の出来事で、何が起きたのかサッパリ解らない田子。階段の下まで転がり落ちてきた吉本は全く動かず、頭からは大量の血が流れている。
急いで救急車を呼んだ。
宗多は、そのまま行方をくらました。
この事故では、第一発見者となった田子が疑われ、職員室でも糾弾されたが、田子はそれどころではなかった。
吉本を突き飛ばして消えた宗多のことが気になっていたのだ。
間もなく、宗多は田子の携帯に電話をかけてきた。怯えている様子だった。
あいつに…。吉本にずっといじめられてて。しかも沙良ちゃんまで…。
水上? 水上がどうした?
倉庫に呼び出して裸の写真を…。脱がなきゃ僕を傷つけるって。…だから僕を助けるために…。
何でそんなこと…。
田子先生が撮ったことにして、教師を辞めさせるって。だから僕…僕…。
お前…俺と水上のために…。
田子は宗多の行動の意味を初めて知った。後悔した。絶対に助けなければならないと思った。
先生…怖いよ。
大丈夫!すぐ行くから。どんな小屋だ? 目印はあるか?
先生…。もういいよ。僕が死ねば全部解決する。
僕が生きてたら洗いざらい話さなきゃいけなくなる。そしたら先生や沙良ちゃんに迷惑が掛かる。
そんなこと考えなくていい。
田子は走った。電話しながら。宗多が言っている林の中の小屋がありそうな場所を探しながら…。
うれしかったんだ。先生が「力になる」って言ってくれたとき、すごくうれしかったんだ。
やめてくれ…。そんなこと言わないでくれ。
俺はお前を…。自分の立場を守るために…。
お前を裏切ったんだ。
先生は…悪くないよ。
違うんだよ。俺は…。お前の気持ちを踏みにじったんだ。
なあ、真田。俺に謝らせてくれ。お前の前で謝らせてくれ。
だから頼む。死なないでくれ!
それだけで十分だよ。
今、先生にもらったお守りを握り締めてるんだ。このお守りにお願いしてもいいかな?
もう二度と…。僕みたいな弱い人間が生まれませんように。
もう二度と…。吉本みたいな怪物が生まれませんように。
先生…。僕、強くなりたかった…。
ようやく小屋を見つけて中に入った時…
宗多は刃物で自分の喉を突いて冷たくなっていた。
手に握っていたのは、田子が宗多にあげた手作りの人形。
血まみれになったそれを自分の手に握って、田子は林の中をとぼとぼと歩いた。
跪いて叫んだ。
木の間から見える空が悲しみと後悔と自分への怒りを飲みこんで行った……。
※※※※※
音のない冒頭5分間。
いつものオープニングが流れて初めて気づく。ああ、ここまで音が無かったんだ。
先週から続く緊張感の足跡…。崩壊はどうしようもないほど続く。
回想シーンは一切入れずに、それでも家族全員がそれぞれ吉本を思いだしているのだと解る。この作りが秀逸すぎ。
吐き気がするほど腹が立ち、頭が痛くなるほど憎らしい忍成くんの吉本荒野。
この人はこういう役が多い役者さんなわけだけど、たぶん忍成修吾史上最高に最低な役。
絶賛したいわ。ここまでに見せる悪役。
吉本荒野にハメられた田子雄大は、学校の中でどんどん居場所を失っていった。死んだ魚のようにどんよりした曇った目。
慎一が話を聞きに行った時、教頭が言っていた「田子雄大」の人物像はこれだったんだ。
「暗くて友達もいず、信頼がなくて、何を考えているか解らなかった。」
自分の身を守りたくて、田子は真田宗多から逃げた。この状況で田子を責められる人間なんて誰もいないだろう。
真田は自ら命を絶ち、田子はその後悔を抱え続けていきている。
最高に最低な人間・吉本荒野を名乗って、「吉本」は沼田家に現れた。
これは…
沼田家を崩壊させる最低の手口は「吉本荒野」流にやらなければならないと思ったから?
「吉本荒野」に成りかけている慎一を教えるために「吉本荒野」を見せる必要があったから?
意識不明の「吉本荒野」に自分自身の行いを償わせたいから?
ラスト。真実を知った慎一の目の色が違う。
そして、茂之は両親の離婚を止めた。
子どもたちが家族を再生することが出来るのか…。
呼ばれてないのにジャジャジャジャ~ン!
いいねぇぇぇ~…。
吉本は沼田家に戻ってきた。
100万返してもらわなければならないしね。そして、高校を中退した慎一は吉本の言う事を1つ聞かなくてはならないし。
沼田家はどうなるのか…「吉本荒野」は、どうなるのか…
最終回は、早く見たいけれども、見たくない。見たら終わってしまう。
…でも、結末は早く知りたい。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
吉本荒野(櫻井翔)によって沼田家は完全に崩壊した…。あくる日になっても家族の間には会話ひとつなく、家の中も散らかったまま誰ひとり片付けようともしない…。それぞれが吉本が消えてしまった心の穴を整理できずにいた。母・佳代子(鈴木保奈美)はおもむろに納戸からスーツケースを引っ張り出すと、誰に相談することもなく家を出て行く。父・一茂(板尾創路)はとりあえず再就職先を探し始めるものの、エリートだったプライドが邪魔をしてなかなか決まらない。次男・茂之(浦上晟周)も不登校に逆戻り。友達の園田満(松島海斗)からの連絡で久しぶりに登校するが、またも集団イジメに加担してゆく。高校を辞めた長男・慎一(神木隆之介)もまた怠惰な日々を送り、吉本への憎悪だけが高まっていた。
そんなある日、沼田家に慎一を心配して最上飛鳥(北原里英)が訪ねてきた。飛鳥は万引き写真を先生に渡さなかった理由を聞かれ、「好きだから…。きっと吉本もそれを分かっていたはず」と答える。まるで吉本を擁護するようなその言い方に、慎一は激昂し、突然、飛鳥を押し倒し襲いかかった!その後、慎一はナイフ片手に吉本のアパートに向かう。既にそこはもぬけの殻だったが、慎一は立花真希(忽那汐里)の写真が載った1枚のチラシを発見する。それを頼りに何とか真希との再会を果たすものの、彼女の本当の姿は驚がくたるものだった…。
(あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
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【キャスト】
田子雄大(「吉本荒野」) … 櫻井翔
沼田慎一 … 神木隆之介沼田茂之 … 浦上晟周沼田一茂 … 板尾創路沼田佳代子 … 鈴木保奈美
水上沙良(浅海舞香→立花真希) … 忽那汐里最上飛鳥 … 北原里英真田宗多 … 吉井一肇
吉本荒野 … 忍成修吾
【スタッフ】
プロデュース … 稲田秀樹演出 … 佐藤祐市脚本 … 武藤将吾原作 … 本間洋平『家族ゲーム』
公式サイト http://www.fujitv.co.jp/kazoku-game/index.html
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