腰椎圧迫骨折の病態と看護計画
腰椎圧迫骨折の病態と看護計画

腰椎圧迫骨折の病態と看護計画

腰椎圧迫骨折の病態と看護計画 2024 12/04 目次

腰椎圧迫骨折とは?

腰椎の椎骨部分に過度な力が加わることで、椎骨が押し潰れるように変形・損傷する骨折のこと。

圧迫骨折は、腰椎に限らず、胸椎にも発生することが多く、胸椎圧迫骨折胸腰椎圧迫骨折と診断される場合もある。

圧迫骨折は、胸腰椎移行部(Th12~L1)が最も発生しやすい。骨粗鬆症患者では骨の強度が全体的に低下しているため、Th11~L4の骨折も多い。

原因

  • 骨粗鬆症:加齢・女性ホルモンの減少、栄養不足、長期のステロイド使用で起こる
  • 外傷:大きな外力が加わることで起きる
  • 腫瘍や病的骨折:病的に骨の構造が弱くなる
  • 代謝性疾患:甲状腺機能亢進症・副甲状腺機能亢進症・クッシング症候群は、骨の質や量に影響を及ぼすため、骨折リスクが増加する!

病態生理

椎骨の構造破綻

椎骨は体の重さを支える柱のような役割をはたし、体重をバランスよく分散して支えるが、転倒などの強い外力が加わると、このバランスが崩れ、椎骨の特に弱い前方部分が押しつぶされる。

骨梁(こつりょう)の損傷

椎骨内部は骨梁とよばれる網目状の構造があり、これが段ボールの波状構造ように力を分散する役割があり、骨の強度を保っている。

圧迫骨折では、この網目が壊れて骨がつぶれる。壊れた網目構造は修復しにくく、変形が残ると、脊椎が前方曲がりことで、円背(猫背)になりやすい。

脊髄神経への影響

椎体が後方に変形すると、脊柱管が狭窄し、脊髄や神経根が圧迫される場合がある。この場合神経症状(痺れや麻痺)を生じることがある。

症状

  1. 腰部の痛み
    • 骨折直後に突然生じる強い痛みが特徴で、動作によって悪化する。
    • 慢性化すると姿勢の悪化や筋肉の過緊張による痛みが続く。
  2. 姿勢の変化
    • 楔形変形により背中が丸くなる(亀背形成)。
  3. 神経症状
    • 骨片が神経を圧迫する場合には、下肢のしびれ、筋力低下、排尿・排便障害がみられる。
  4. 身長の低下
    • 骨折が複数回起こると身長が低くなる。

楔形変形(読み方:くさびがたへんけい)とは?楔形は、「一方が狭く、もう一方が広い三角形のような形状」を指し、圧迫骨折も前方がつぶれた形状を示すので、楔形変形と言われる。骨折や解剖学的な構造を表現する際に使う用語なので頭の片隅に入れておこう!

検査

画像検査
  • X線検査椎体の楔形変形や骨折部位を確認するための基本的検査。
  • MRI検査急性骨折と陳旧性骨折の鑑別や神経圧迫の有無を評価する。
  • CT検査骨の詳細な構造や骨片の位置を評価。
骨密度測定

骨粗鬆症の診断や骨折リスク評価のために行う。

血液検査

骨代謝マーカー(カルシウム、ビタミンD)の測定。

分類

骨折の分類
  • 安定型椎体の前方のみが損傷しており、神経圧迫がない場合。
  • 不安定型椎体の後方部分も損傷し、脊髄や神経根への影響がある場合。
発生時期別分類
  • 急性骨折発症から6週間以内。
  • 陳旧性骨折発症から6週間以上経過。

重症度分類

  • 軽度:痛みが軽く、日常生活に大きな支障がない。
  • 中等度:痛みが強く、動作や日常生活に制限がある。
  • 重度:神経症状を伴い、要手術または専門的な治療が必要。

治療

保存療法 安静

急性期には痛みを軽減するために安静が必要。ただし、過度な安静は筋力低下を招くため、適切なリハビリを行う。

装具の装着

マックスベルト(サポートベルト)やオーダーコルセットを使用し、腰椎を安定させ、骨折部にかかる負荷を軽減する。

※次項に各装具の特徴まとめました!

疼痛コントロール

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や強い痛みに対しては弱オピオイドを使用する。

骨粗鬆症の治療

ビスホスホネートやデノスマブによる骨密度の改善。ビタミンDやカルシウム補充を行う。

2. 手術療法 経皮的椎体形成術(バルーンカイフォプラスティ:BKP)

骨粗鬆症による圧迫骨折の治療に用いられる低侵襲手術。背中から数㎜の細いドリルや穿刺針を挿入し、椎弓根の中心から椎骨に到達させ、ガイドワイヤーやバルーンカテーテルを挿入する。バルーンで潰れた椎体を一時的に持ち上げた後、その空間に骨セメント(PMMAなど)を注入して椎体を補強し、形状を整える。

小さい切開で済み、痛みが劇的に軽減されることも多い。ただ、脊髄や血管へセメント漏出のリスクがあるため、術後の以下の合併症・症状に注意する。

<脊髄または神経根へ漏出した場合>

  • 神経症状
  • 激しい疼痛
  • 排尿・排便障害

<血管へ漏出した場合>

  • 肺塞栓症…静脈に漏れ、肺動脈に流れた場合→呼吸困難や胸痛、チアノーゼ、ショック
  • 動脈塞栓…動脈へ漏れ、下肢や臓器への血流が障害された場合→下肢の冷感やチアノーゼ、強い疼痛
後方固定術

背中から脊柱にアクセスし、金属製のスクリューとロッドを用いて椎骨同士を固定する手術。

不安定で保存療法が困難な時、高度な脊柱の変形や神経症状がある場合に行う。

腰椎圧迫骨折でよく使う装具の特徴

軟性コルセット 出典:SIGMAX「マックスベルトR2」製品情報https://www.sigmax-med.jp/medical/products/supporter/supporter-trunk/maxbelt-r2

腰椎圧迫骨折の軽症例や、装着の簡便さを重視する場面でよく使用される。

背面にはプラスチックや金属製の支柱が内蔵されており、腰部を安定させる役割を果たす。全体はナイロンやポリエステルなどの柔軟性と通気性に優れた素材で作られており、長時間の装着でも快適さを保てる。

サポート力は比較的弱いものの、軽量で装着感が良く、患者自身でも簡単に着脱できるのが特徴。

ダーメンコルセット 出典:パシフィックサプライ株式会社「ダーメンコルセット」製品情報https://www.p-supply.co.jp/products/index.php?act=detail&pid=12

軽度から中等度の圧迫骨折や急性期の腰部安定化を目的に使用される。

メッシュ素材を主体として、背面に硬性のパネルを組み込み、オーダーメイドで作成するため、着けやすさと高い固定力を兼ね備えたコルセット。

硬化コルセットと比べると固定力は劣るものの、比較的コストは抑えられる。

硬化コルセット 出典:株式会社COLABO「胸椎用硬性コルセット」製品情報https://colabo-po.com/docs/2021100100016/

中等度以上の圧迫骨折や複数椎体が関与する場合に使用される。長期的な治療が必要なケースや、より高い固定力が求められる場合に適している。

患者の体型に合わせてオーダーメイドで作成されるため、固定力は強いが、硬いプラスチックや金属パーツが使われるため、圧迫感や違和感を生じやすい。

また、重さや装着の複雑さもあり、高齢者では、マックスベルトやダーメンコルセットなどの簡易装具が代替として使用されることも多い。

看護計画

長期目標
  1. 痛みが軽減し、日常生活を安全に送れるようになる。
  2. 骨粗鬆症の進行が抑制され、再発リスクを軽減する。
短期目標
  1. 急性期の痛みが緩和される。
  2. 装具を適切に使用し、骨折部位が安定する。
O-P(観察計画) ①バイタルサイン
  • 体温、血圧、脈拍、呼吸数の測定。
  • 血圧低下や脈拍増加の有無。
  • 呼吸パターンの変化。
  • 体温上昇(感染兆候)。
痛みの部位・程度・疼痛スケール
  • 痛みの部位、広がり、性質(鋭い痛み・鈍い痛み)。
  • 疼痛スケール(NRS、VAS、FACEスケールなど)。
  • 痛みの持続時間、間欠的な痛みの有無。
  • 安静時と動作時の違い。
  • 鎮痛薬の効果や副作用の有無。
神経症状の有無
  • 下肢のしびれ、脱力感、感覚鈍麻の有無。
  • 筋力低下(MMT: 徒手筋力テスト)。
  • 足趾の動き(足背・足底屈曲の可動性)。
  • 排尿・排便障害(膀胱直腸障害の兆候)。
  • 反射異常(膝蓋腱反射やアキレス腱反射)
装具による皮膚状態
  • 装具装着部の発赤、発疹、圧迫痕の有無。
  • 装具が適切にフィットしているか。
  • 汗や摩擦によるかぶれ、皮膚炎の兆候。
  • 装具使用時の痛みや違和感の訴え。
ADL
  • 起居動作(起き上がり、座位保持、立ち上がり動作)。
  • 歩行状態(杖や歩行器の使用状況)。
  • 自力での着替え、食事、整容動作の可否。
  • 入浴やシャワーの介助の必要性。
排泄方法
  • 排尿の頻度や残尿感の有無。
  • 排便回数、便秘や失禁の有無。
  • ポータブルトイレやおむつの使用状況。
  • Ba-T使用時はカテーテルの状態や尿量
  • 排泄時の痛みや負担感の訴え。
  • 排尿・排便コントロールの状態。
精神状態
  • 痛みや制限による不安感、落ち込みの有無。
  • 入院環境への適応状況。
  • 家族との関係や支援体制。
転倒リスク
  • ふらつきや平衡感覚の障害。
  • 移動時の安全性(ベッド柵や歩行補助具の必要性)。
  • 環境要因(病室内の段差、滑りやすい床の有無)。
⑨治療・リハビリの進行状況
  • 装具やリハビリの適応状況。
  • 運動時の負担感や疲労の訴え。
  • リハビリ計画に対するモチベーションや意欲の有無。
T-P(援助計画) ① 疼痛コントロール
  • 患者が楽な体位を取れるように支援(仰臥位・側臥位・クッションの使用)。
  • 鎮痛薬の服用支援と服薬後の効果の確認。
  • 深呼吸やリラクゼーション法の指導(痛みや緊張の緩和)。
安全な移動・動作の援助
  • ベッドからの起き上がりや立ち上がり時の介助。
  • 転倒防止のための杖や歩行器の使用支援。
  • 装具の着脱支援および装着時の安定確保。
  • 痛みを軽減するため、無理のない動作計画を提案。
③ADL(日常生活動作)の援助
  • 食事の補助(臥床しながらでも食べられる主食おにぎりへの変更など)
  • 排泄の援助(ポータブルトイレの設置、膀胱留置カテーテルの挿入なども検討)。
  • 着替えや整容動作のサポート。
  • 入浴や清拭の際の体位調整や皮膚状態の確認。
④心理的支援
  • 患者の不安や痛みの訴えに傾聴し、共感的に対応。
  • 回復に向けた段階的な目標を共有し、希望を持たせる。
⑤リハビリテーションへの援助
  • 主治医やリハビリスタッフと連携し、適切な運動や筋力強化の支援を行う。
  • 運動時に痛みが強い場合の中断や調整のフォロー。
E-P(教育計画) ①疾患に関する理解を深める教育
  • 腰椎圧迫骨折の原因、経過、治療法について分かりやすく説明。
  • 骨粗鬆症が原因の場合、その対策の重要性を強調。
②装具の使用方法・管理方法の指導
  • 装具の正しい装着方法と外し方の説明。
  • 使用時間の目安や皮膚トラブル時の対応方法を指導。
③鎮痛剤の使用法の教育
  • 鎮痛薬の使用量、タイミング、注意点を指導。
④排泄・体位管理の指導
  • 排泄時の体への負担を軽減する方法(ポータブルトイレの使用など)。
  • 長時間の同じ姿勢を避けることや、定期的な体位交換の重要性。
患者・家族・入居施設への情報共有
  • 介助者へ注意点を説明。
  • 家庭や施設での装具管理やリハビリ計画の継続方法を共有。

参考文献

  1. 日本整形外科学会「骨粗鬆症性椎体骨折の診療ガイドライン 2023」
  2. OrthoInfo – American Academy of Orthopaedic Surgeons, “Compression Fractures of the Spine,” 2023.
  3. 中村利孝ほか「腰椎骨折の保存療法と手術適応」整形外科ジャーナル、2022年。

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