胸腔穿刺の手技、部位、注意点について【動画もまじえて解説】
胸腔穿刺の手技、部位、注意点について【動画もまじえて解説】

胸腔穿刺の手技、部位、注意点について【動画もまじえて解説】

検査・処置コース 胸腔穿刺の手技、部位、注意点について【動画もまじえて解説】
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2021年5月6日 (更新日:2021年8月6日)

胸水穿刺は本で読んだけど、うまくできなかった。何かコツがあるの?

胸腔穿刺で合併症を起こさないか不安

こういった疑問を解説します。

この記事の内容

  • 胸腔穿刺の手技
  • 胸腔穿刺の合併症
  • 胸腔穿刺の適応
  • 胸腔穿刺の禁忌

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

胸腔穿刺も慣れない間はちょっと緊張しますよね。

自分も研修医のころはそうでした。でも、実際に慣れてくると、本では書いていないようなコツがあるのに気づきます。

ここでは上手くできるように、手順だけじゃなくコツや、合併症や禁忌など周辺の情報も解説していきます。

胸腔穿刺を時々しかやらない人は、ぜひ参考にしてください!

  1. 胸腔穿刺の手技を詳しく解説
  2. 胸腔穿刺の部位の決め方
  3. 胸腔穿刺の注意点
  4. 胸腔穿刺の合併症
  5. 胸腔穿刺の適応
  6. 胸腔穿刺の禁忌
  7. まとめ

胸腔穿刺の手技を詳しく解説【本では書いてないコツ付き】

胸腔穿刺は外来やベッドサイドでも可能です。鎮静の必要もありません。

動画でみるのがイメージしやすいと思います。こちらをご覧ください。

では、私が普段気を付けているコツも交えて解説していきます!

準備物品

これらのものを準備します。

  • 場所決め:エコー、マジック
  • 清潔:滅菌手袋、消毒液、滅菌穴あき
  • 局所麻酔:キシロカイン、注射器10ml、麻酔用針23G
  • 穿刺:穿刺用の針(エラスター針)、三方活栓
  • 検体採取用に50mlの注射器50ml(検体採取用)
  • 廃液:延長チューブ、廃液ボトル
  • その他:ガーゼ、モニター
姿勢

以下の姿勢に整えます。

  • 起座位でオーバーテーブルにもたれかかる
  • 体幹を前へ傾ける
  • 腕の下に支え

胸水などは、座位の方が胸水が下にたまって穿刺する場所が確保しやすいです。

緊張性気胸での緊急場面では、例外的に仰臥位でもいいです。

モニター

SpO2、HRくらいはモニターしましょう。

穿刺部位の決定

超緊急でなければCTを事前に撮影するのが安全です。そして直前にエコー、打診で確認します。

胸骨の下縁には血管や神経があるため、胸骨の上縁を穿刺します。

清潔操作

消毒剤を塗布し、穴あきドレープをかけます。

表皮を局所麻酔

痛覚神経があるのが表皮と胸膜なので、麻酔はそこに行います。まずは表皮から。

23Gなどの細い針を使用。膨疹ができるようにキシロカインを注入します。

また、先に麻酔だけしてから他の物品を準備すると、麻酔が効いてきたころに本穿刺に移れます。

また、先に麻酔だけしてから他の物品を準備すると、麻酔が効いてきたころに本穿刺に移れる。

胸膜を局所麻酔

局所麻酔のまま垂直に刺し、陰圧をかけながら壁側胸膜まで進めます。

肺を刺さないよう、少しずつ進めてください。胸水が返ってきたら、シリンジ全体をやや引いて、キシロカインを注入します。

なお、胸水が返ってきたときの針の長さを確認すれば、次の本穿刺にどれくらい刺すかの目安になります。

胸水が返ってきたら、シリンジ全体をやや引いて、キシロカインを注入。胸水が返ってきたときの針の長さを確認すれば、次の本穿刺にどれくらい刺すかの目安になる。

胸腔穿刺用のカテーテルで穿刺

次に本穿刺に移ります。

点滴に使うようなエラスター針で、胸腔穿刺の専用のものがあります。肺を刺さないよう、少しずつ進めてください。

胸水が確認できたら外筒を進める

胸水が返ってきたら外筒を進めます。

内筒をガイドワイヤー代わりにしているイメージです。

内筒も進めてしまうと気胸の恐れがでます。内筒は固定して下さい。

内筒をガイドワイヤー代わりにしているイメージ。内筒も進めてしまうと気胸の恐れがでるため内筒は固定して外筒を進める。

胸水を採取

胸水を採取します。検査のみなら、必要分を取って終了です。

排液する

排液する場合は、手でシリンジを使ってとるか、点滴ラインをつないで自然滴下する方法があります。

どちらも合併症の起こる率は変わらないようです。

排液は一度に1Lまで

廃液の量は一度に1Lまでにしましょう。これは、再膨張性肺水腫を予防するためです。

廃液の量は一度に1Lまで。

流れは分かった。他に気を付けるポイントはある?

では、気を付けるポイントとして、穿刺する部位を見ていきます。

胸腔穿刺の部位の決め方

部位の決め方にはいくつか決め方があります。

胸水・膿胸の場合の決め方

CTで見たあと、エコーで確認

胸水の場合は直前にエコーで黒く見えるのを確認します。安全に穿刺するため胸水の量は下が目安でしょう。

  • 慣れている人;10mm
  • 慣れていない人:30mm
  • 本当に自信がない人:50mm
気胸の場合の決め方 状態が落ち着いている場合

胸部CTで先に確認してから行う方がいいでしょう。

エコーという方法もありますが、慣れていないと難しいです。意見はあるかもしれませんが、落ち着いていたら胸部CTをとるのが望ましいと私は考えます。

緊急事態(緊張性気胸など)

胸部CTを取りに行く時間もない場合は、第2肋間鎖骨中線上を急いでさします。

胸水:CTとエコーで確認 気胸:状態が落ち着いていればCTで確認。緊急なら第2肋間鎖骨中線上

肋骨上縁

肋骨の下縁には動脈やら神経があるので、それを避けて上縁を刺します。

肋骨下縁は刺さない

胸腔穿刺の注意点

いくつか注意点を紹介します。

  • SpO2低下などあればレントゲン撮影を考慮
  • 胸水除去量の記録
  • 胸部X線をルーチンに行う必要はなし

胸腔穿刺の合併症

合併症にはどんなものがある?

合併症としてこれらのものがあります。

  • 気胸:肺を刺してしまう
  • 血胸:肋間動静脈を刺してしまう
  • 再膨張性肺水腫:しぼんでいた肺が急激に広がる
  • 肝脾損傷:肝臓・脾臓を刺してしまう
  • 感染:穿刺した針から感染

胸腔穿刺の適応

胸腔穿刺はどんな場面で行う?

診断と治療の場合で変わります。

  • 診断:原因不明の胸水
  • 治療:気胸、胸水、膿胸、血胸

胸腔穿刺の禁忌

胸腔穿刺をしてはいけない場面は?

絶対的な禁忌はありません。

しかし、相対的禁忌として胸腔穿刺をためらう場面には以下のものがあります。

  • 出血性疾患または抗凝固状態
  • 胸水が非常に少ない
  • 激しい咳嗽
  • 姿勢が取れない

まとめ

では、内容を振り返ります。

  • 適応:診断としては原因不明の胸水、治療としては気胸、胸水、膿胸、血胸
  • 穿刺部位の決め方:胸水はCTとエコーで確認、気胸では状態が落ち着いていればCTで確認し、緊急なら第2肋間鎖骨中線上
  • 肋骨下縁は刺さない
  • 合併症:気胸、血胸、再膨張性肺水腫、肝脾損傷、感染
  • 禁忌:絶対的な禁忌はないが、相対的禁忌として胸腔穿刺をためらう場面は、出血性疾患または抗凝固状態、胸水が非常に少ない、激しい咳嗽、姿勢が取れない

このあたりが分かれば、胸腔穿刺のやり方はバッチリです。参考になった方は、明日からの仕事に活かしてみて下さい!

何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。

  • 胸腔穿刺の手技、部位、注意点ついて【クイズで学ぶ】

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もっと得意になりたい

さらに得意になりたい人は、書籍で学んだり、適切な働く環境に身を置くことが大事です。どんな症例が経験できるか、まわりの人間関係などで、力がつけられるかは大きく変わります。

  • 呼吸器内科などを書籍で学びたい人は[呼吸器内科を学ぶのにオススメの本、9選【2021年版】]もご覧ください。
  • より呼吸器が学べる職場を見つけたい人は、[看護師転職サイトのランキング【結論:大手3サイト+自分の事情に合わせて】]にまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事は[Up To Date / Large volume (therapeutic) thoracentesis: Procedure and complications]も参照して書きました。

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