大横綱へ!大の里「逆に吹っ切れた」花道で本割敗因分析&修正…決定戦で“天敵”豊昇龍圧倒しV
パレード車からファンの声援に応える大の里(右)と旗持ちの白熊(撮影・河田真司)<大相撲秋場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館
大横綱への第1歩を踏み出した。昇進2場所目の大の里(25=二所ノ関)が、2場所ぶり通算5度目、横綱として初優勝を飾った。横綱豊昇龍(26=立浪)との本割は、押し出しで敗れて13勝2敗で並んだ。09年秋場所の朝青龍と白鵬(優勝は朝青龍)以来、16年ぶりとなった横綱同士による優勝決定戦にもつれたが、寄り倒して雪辱した。本割前まで不戦勝1つを除き1勝6敗だった“天敵”豊昇龍を退ける優勝で「大の里時代」到来を予感させた。
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スイッチが入った。優勝決定戦前の花道。大の里は敗れた本割の映像を、これ以上ないほど目を見開いて見ていた。悔しさ、焦り、そして勝ちたい欲-。全ての感情を捨てるために、グッと敗因の分析だけに集中した。
よぎったのは前夜の師匠二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の言葉。「淡々といきなさい。考える必要はない」。優勝決定戦の土俵では冷静そのもの。左上手を取りにきた豊昇龍を逃さず“伝家の宝刀”右差しから、圧力をかけて寄り倒し。自分の強みを出した。物言いがついたが、行司軍配通りに勝ち、うなずいた。
「本割が最悪な相撲だったので、これ以上、マイナスはないと思って、逆に吹っ切れた。(本割は)欲が出てしまった自分がいた。優勝決定戦は思い切っていけた」。“天敵”には、何度も苦杯をなめてきた。本割では、相手のもろ手突きに上体を起こされ、あっさりと押し出された。
ただ修正力は人一倍。初日を9日後に控えた今月5日の横綱審議委員会による稽古総見では、豊昇龍、大関琴桜との申し合いで3勝8敗と振るわなかった。だが翌6日の二所ノ関一門の連合稽古では、琴桜と三番稽古で12勝3敗。劇的な復調の内幕を明かしたことがあった。「道中で考えて、もう1度、同じことをしないようにした。稽古総見では上半身と下半身がバラバラ。体の感覚は覚えてはいたので、それが生きた」。
頭の中で不調の原因を整理し、修正できる域に達していた。裏を返せば、横綱に求められる「心技体」のうち、技と体は常に臨戦態勢を整えていることの証明でもあった。二所ノ関親方も「最初の取組で負けた時はどうなるかと思った。よく修正力を見せてくれた」と評価し、軌道修正すると信じていたと明かした。
横綱昇進2場所目の優勝に「輪島さんに並ぶことができてよかった」と、同じ石川県出身、優勝14度の故人と肩を並べたことを喜んだ。ただ、大の里が歩む道は、優勝20度を超える「大横綱」に匹敵。新入幕から11場所で5度目の優勝で、優勝確率は45・5%となった。優勝32度の大鵬の46・4%にこそ及ばないが、同25度の朝青龍と並んで2番目に高い。白鵬の43・7%なども超えている。日本出身で年間3度優勝するのは97年の貴乃花以来。「大横綱」の将来を予感させる。
先場所は、新横綱として歴代単独ワーストの金星4個を配給した。「苦しい経験をした。あの経験は、もう2度としたくない」。負ければたたかれる、横綱の重圧に苦しめられた。悪癖だった、まともに下がる引きも「名古屋場所の反省を生かした」と封印。ついに天敵も乗り越えた。「目標を内に秘め、それを達成できるように頑張りたい」。目標は言わない。ただ「大の里時代」は、確実に近づいている。【高田文太】
【動画】大の里、横綱として初優勝!“天敵”豊昇龍を優勝決定戦で破る
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