「頼むから真面目に聞いて」半泣きで差別に抗議…集まった参政党支持者との「本音トーク」の末に起きた拍手
- ◆「どうせバイトでしょ」あざ笑う声
- ◆やじを飛ばしたり罵倒したりせず真剣に…
- ◆「抗議してる人は『やばいヤツ』だと思ってた」
- ◆「全力でぶつけたことで何かが伝わったのでは」
参院選で議席を大幅に増やした参政党。「日本人ファースト」の主張に対しては「外国人らへの差別を助長する」との批判が上がり、街頭演説では抗議する人の姿が各地で見られた。抗議した人の中には、強まる一方の分断を少しでも乗り越えたいと、対話を試みた人もいた。(森田真奈子)
◆「どうせバイトでしょ」あざ笑う声
選挙戦最終日の19日、東京都港区の芝公園。2万人が集まったとされる参政党の最終演説の後、都内に住む平山貴盛さん(29)は、半泣きの状態で支持者たちに呼びかけていた。「頼むから真面目に聞いてほしい」「(差別的な主張に)怖がっている人がいるんだ」
「わたしは差別に抗う」とのポスターを持って参政党の演説に抗議した平山貴盛さん=19日、東京都港区の芝公園で
手には「わたしは差別に抗(あらが)う」と書かれたポスター。平山さんと同様に、参政党の主張に抗議する人は100人以上いた。だが支持者からは「どうせバイトでしょ」「ボランティアでやるわけないじゃん」とあざ笑う声も聞かれた。
平山さんより少し若い男性が足を止めた。埼玉県川口市に住んでいたことがあり「外国人が多くて怖い」という。「良い外国人は住んでもいいけど、悪い人は困る」と持論を語った。
◆やじを飛ばしたり罵倒したりせず真剣に…
平山さんは必死に応えた。「怖い気持ちは誰にでもある。でも外国人や障害者、弱い立場の人はもっと怖いのでは」「犯罪を取り締まるのは、外国人とか日本人とか関係ないですよね」
2人が話していると、周囲に20人ほどの参政党支持者らが集まってきた。もめ事が起きるんじゃないかと不安がよぎる。でも、違った。誰ひとり、やじを飛ばしたり罵倒したりしない。真剣に聞き入っていた。
参院選の街頭演説で排外主義的主張を繰り返す参政党に抗議する人たち=19日、東京都港区の芝公園で(市川和宏撮影)
10分ほどして議論が一段落すると、平山さんは周囲の人たちに語りかけた。「皆さんと意見が違うのは分かる。だからといって、『バイト』とか言わないでください。皆さんも日本のためにと真面目に思って、ここに来たんですよね? それは私たちも同じです」
◆「抗議してる人は『やばいヤツ』だと思ってた」
男性は「抗議してる人って『やばいヤツ』なのかなって思ってたけど、違う意見も分かって良かったです」。その言葉に、周囲からは拍手が起きた。
平山さんは、脳性まひの人らの在宅介助の仕事をしている。選挙戦で「日本人ファースト」が叫ばれ、人間に序列を付けるような風潮に、障害当事者は「自分たちは殺されますね」と自嘲気味に語ったという。
排外主義的主張を繰り返す参政党に抗議する人たち=19日、東京都港区の芝公園で(市川和宏撮影)
「差別を容認しない人もいると示さなければ、排除に恐怖を感じている人はあまりに救われない」。だから、選挙戦期間中に8回ほど、街頭で抗議した。
候補者自らが演説で、抗議する人を「バイトの皆さん」とからかう場面もあった。平山さんは「差別とか以前に敬意を欠いている。許せなかった」。19日は「これだけたくさんの聴衆がいれば思いを分かる人もいるのでは」という一心で、初めて対話を試みた。
◆「全力でぶつけたことで何かが伝わったのでは」
話ができたのは3人。「自分には党の主張のどこが差別的か分からない」とも言われた。それでも平山さんは「全力で情熱をぶつけたことで何かが伝わったのではないか」と振り返る。
外国人の社会保障の利用制限やLGBT理解増進法への反対、終末期の延命措置医療費の全額自己負担化──。それらを掲げる政党が広く支持を集めた現実は、少数者にますます恐怖を与えかねない。平山さんは選挙を終え、改めて訴える。
「より弱い属性の人に想像力を持ってほしい。自分が社会を良くしたいと真面目に思っているのであれば、対立する思いも真剣に聞いてほしい」
参政党の演説に抗議した平山貴盛さん=19日、東京都港区の芝公園で
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