【インタビュー】ジュディ・オング(歌手、女優、木版画家・70歳)「これからは毎日をお正月にしよう」古稀を迎えて、そう決めたんです
【インタビュー】ジュディ・オング(歌手、女優、木版画家・70歳)「これからは毎日をお正月にしよう」古稀を迎えて、そう決めたんです

【インタビュー】ジュディ・オング(歌手、女優、木版画家・70歳)「これからは毎日をお正月にしよう」古稀を迎えて、そう決めたんです

【インタビュー】ジュディ・オング(歌手、女優、木版画家・70歳)「これからは毎日をお正月にしよう」古稀を迎えて、そう決めたんです 2020/5/27

木版画に打ち込み、世界各地で個展。「時間はつくるものですよ」

──木版画家でもいらっしゃいます。

「油絵は描いていたんですが、木版画は25歳から。きっかけは棟方志功門下の井上勝江先生の個展です。超モダンな作風に圧倒されて、その場で弟子入りをお願いしたら“あら、ジュディ・オングさん。無理よ”(笑)。

ダメといわれたら逆にやる気になって、帰ってすぐ椿の絵を描き、凄い勢いで彫ってみたんです。馬簾(ばれん)がないので、スリッパで摺りました(笑)。再度、先生を訪ねたら、版木をじっと見て“今週からいらっしゃい”。初めは丸の彫り方から教わったんですよ」

──テーマは日本の家屋が多いのですね。

「日本家屋は、この国の風土、歴史、哲学の結晶ですよね。撮影で長く京都にいましたので、お茶屋さんを始め、日本家屋に触れる機会が多くて、その建物文化に惚れたんです。

まず下絵を描く。この構想がいちばん大事で、楽しいけど苦しい。生き生きと見せるにはどうするか。黒のなかに違う黒を出してみようかとか、色分解を考えながら描いてゆく。そこが勝負です。彫るのは技術ですから」

ジュディさんが手にしている版木は、『紅椿』という作品のもの。今では西欧各国や中国・台湾等で個展を行なうアーティストだ。「台湾では5万人の方に観ていただきました」

──いくら時間があっても足りませんね。

「時間はつくるものですよ。情熱があれば持続できます。5日休んでも、6日目にまた始めればいいんです。それがクセになって継続になる。気にし過ぎると続きませんね。ある程度、自分を許してあげることです。たとえ日があいても、小さいサイズから描き始めて、大きな作品にして、また挑戦したらいい。そうすると人生素敵ですよ」

『鳳凰迎祥』。2003年に「宇治平等院鳳凰堂」をテーマに彫り上げて日展に入選した100号の大作。版木の数は8版。作品は2年後の3月、宇治平等院に奉納された。

  ──災害のチャリティもされています。  

「東日本大震災の日は、東京の自宅にいたんですが、揺れがおさまってテレビをつけたら、あまりの被害の大きさに茫然として。これは日本でのチャリティは無理だと思って台湾の大使に電話をしました。日本を助ける呼びかけをしたいって。翌朝、“スペシャル番組ができたよ、すぐ台湾へ飛ぼう”と連絡がありましてね。台湾では飛行場からもう募金の呼びかけが始まっていました。日本を助けよう、日本がんばれって、全部のテレビ局が共同で募金を募る番組を作って放送してくれたんです。私の木版画も募金に貢献しましたし、小さな子が貯金箱のお金を全部寄付してくれたりしました」

──最終的に台湾から総額220億円の義援金が日本に届いたそうです。

「1999年に9.21台湾中部大地震が起きましたが、あのときは日本からの国際救援救助隊が一番最初に台湾入り。私たちが東京で開いたチャリティコンサートなどでも、日本のみなさんには多大な支援をいただいた。台湾の人は、その経験から大地震の大変さも支援のありがたさもよく知っているんです。

ある会社の社長からは、フリース3万着を日本に送ってほしいと電話をもらいましてね。皆様のご協力で、被災地へお届けできました」

──ご自身の目指すゴールはどこですか。

「人生の最期のカーテンをしめるとき、自分自身に〈ああ、よかった。私、できたね〉と言えるのがゴールかな。いまはそのための準備期間で、毎日がお正月(笑)。そうね、みなさんの前で好きな歌をうたって“ありがとう”という拍手をいただいた後、その幸福感に浸りながら眠りに就く。それで目が覚めなかったら、一番理想的かなと思います」

ジュディ・オング 歌手/女優/木版画家 1950年、台湾生まれ。3歳で来日。9歳で劇団ひまわり入団。11歳の時、日米合作映画「大津波」でデビュー。歌手デビューは16歳、以来スマッシュヒットを飛ばし、1979年「魅せられて」の大ヒットにより日本レコード大賞他を受賞。木版画家としては、14回の日展入選を果たし、2005年には日展特選を受賞。現在、ワールドビジョン親善大使、日本介助犬協会サポート大使、ポリオ根絶大使を務めている。

※この記事は『サライ』本誌2020年5月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。(取材・文/佐藤俊一 撮影/宮地 工 撮影協力/コットンクラブ)

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