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鉛バッテリーについての質問が多く寄せられますので、 『鉛バッテリーの充電方法(普通・急速)や充電にかかる時間や容量(Ah)など』 をまとめてみます。 主に、自動車や二輪車、船舶で使われる鉛バッテリーを対象としてまとめました。
以下、本記事の目次です。 ・バッテリーの種類や特徴 ・バッテリーの容量『Ah(アンペアアワー)』や時間率(HR)って何? ・バッテリーの種類と外観、容量の違い ・バッテリーの充電方法、普通充電や急速充電って知ってる? ・どんな充電器を使えば良いの? ・DIYソーラーで充電する場合は? ・バルク充電・アブソーブ充電・吸収充電・フロート充電・トリクル充電、って何? ・バッテリーの充電状態の確認ってどうするの?(電圧編) ・バッテリーの充電状態の確認ってどうするの?(バッテリー液の比重編) ・鉛バッテリーの寿命って?
鉛バッテリーの種類や特徴、容量の計算や充電状態の把握まで網羅してあります。 この記事を読んでいただければ鉛バッテリー博士になれるハズです!?
5800文字ほどの記事となっています。
■バッテリーの種類や特徴
鉛バッテリーには大きく分けて、 『スターターバッテリー』と 『ディープサイクルバッテリー』の 2種類があります。
また、それぞれに『開放型』と『密閉型』と呼ばれる構造上の特徴があります。
『スターターバッテリー』 自動車や二輪車のエンジン始動用のバッテリーです。 エンジン始動でセルモーターを回す際の瞬間的な大電流を取り出すのが主たる目的です。 エンジンが動いている状態で常に充電され続け、満充電に近い状態を維持し続けながら使うのが本来の使い方です。 放電のしすぎに弱く、2回ほどのバッテリー上がりで電極版に深刻なダメージが残るといわれています。
『ディープサイクルバッテリー』 繰り返しの充放電が出来るように設計されたバッテリーで、長い時間をかけて少さな電流を取り出し続ける用途に向いています。
『開放型』 バッテリーを充放電する際に発生する水素ガスと水蒸気を逃がす構造になっているバッテリーです。 バッテリー液が徐々に減っていくので、定期的に精製水を補充する必要があります。
『密閉型』 水素ガスと水蒸気の発生が極力少ない材質や構造を用いて、密閉されたケースに収まっているバッテリーです。 完全に密閉されたものと、若干の圧力を逃すものがありますが、どちらも精製水の補充を必要としません。 また、このタイプのバッテリーは急速充電をすることが出来ません。急速充電はケース内の圧力が極端に上がってしまうため危険です。
■バッテリーの容量『Ah(アンペアアワー)』や時間率(HR)って何?
まずはザックリとバッテリーの容量を示す 『Ah(アンペアアワー)』 について。
A(アンペア)は電流の単位です。 h(アワー)は時間(1h:1時間)の単位です。 Ah(アンペアアワー)という単位は、単純に電流(A)と時間(h)の積だというのが分かります。
例えば50Ahのバッテリーがあるとします。 このバッテリーからは、 1Aで50h、 2Aで25h、 5Aで10h、 分の電流が取り出せる容量という意味になりますね。
ただし、バッテリーというのは、取り出す電流の大小と、電流の取り出しにかける時間によって、取り出せる電流の総量が変ってしまうという特性があります。
具体的には、 ・取り出す電流が小さいほど多くの電流を取り出せる (取り出す電流が大きいほど取り出せる電流は少なくなる) ・長い時間をかけて電流を取り出す方が多くの電流を取り出せる (短時間で電流を取り出すと、少ない電流しか取り出せない) といった具合です。
これではザックリとしすぎていて、バッテリーの性能や容量を比較することが出来ません。 そこで登場するのがバッテリーの時間率容量(HR)です。
日本で流通している鉛バッテリーには、 ・5HR(5時間率容量)国内自動車用バッテリーに多い基準 ・10HR(10時間率容量)オートバイ用バッテリーに多い基準 ・20HR(20時間率容量)欧州自動車用やディープサイクルバッテリーに多い基準 の3種類の時間率で容量を表記したバッテリーが多いですね。
5HR(5時間率容量)ならば、容量の1/5の電流を5時間で放電できる性能という意味です。 10HR(10時間率容量)ならば、容量の1/10の電流を10時間で放電できる性能という意味です。 20HR(20時間率容量)ならば、容量の1/20の電流を20時間で放電できる性能という意味です。
具体的にいいますと、
50Ah/5HRといったバッテリーの場合、 50Ahの1/5、つまり10Aの電流を5時間かけて取り出すとバッテリー上がり(10.5V)という容量っていうことです。 ( 10A × 5h = 50Ah )
10Ah/10HRといったバッテリーの場合、 10Ahの1/10、つまり1Aの電流を10時間かけて取り出すとバッテリー上がり(10.5V)という容量っていうことです。 ( 1A × 10h = 10Ah )
100Ah/20HRといったバッテリーの場合、 100Ahの1/20、つまり5Aの電流を20時間かけて取り出すとバッテリー上がり(10.5V)という容量っていうことです。 ( 5A × 20h = 100Ah )
となります。
では、100Ah/5HRのバッテリーと100Ah/20HRのバッテリーとでは、どちらが性能が良いのでしょうか? 答えは『100Ah/5HRのバッテリーの方が性能が良い』です。
前述の通りバッテリーは、 『短時間で電流を取り出すと、少ない電流しか取り出せない』 ワケですから、100Ahを5時間で取り出せるバッテリーの方が性能が良いのですね。 容量は同じ100Ahですけどね、不思議ですよね。
ただし、バッテリーの容量というものは環境や条件によって変ってしまいます。 なので、新品で100Ah/5HRのバッテリーがあったとしても、その性能を100%発揮できるとは限りません。
あくまで目安として理解しておくべきでしょう。
■バッテリーの種類と外観、容量の違い
・一般的な開放型スターターバッテリー(12V-30Ah/5HR) 画像のバッテリーは30Ah/5HRなので、6Aを5時間かけて取り出せる性能ですね。 乗用車のスターターバッテリーです。 開放型なので転倒させるとバッテリー液(希硫酸)が流れ出ます。
・一般的な密閉型ディープサイクルバッテリー(12V-115Ah/20HR) 画像のバッテリーは115Ah/20HRなので、5.75Aを20時間かけて取り出せる性能ですね。 ケースに比重計が内蔵されていて、大まかな充電状況を知ることが出来ます。 密閉型なので急速充電は出来ません。
・密閉型ディープサイクルバッテリー(6V-9Ah/20HR) 画像のバッテリーは9Ah/20HRなので、0.45A(450mA)を20時間かけて取り出せる性能ですね。
様々なタイプのバッテリーが存在しますね。
パッと見で、 白いケースに入っているバッテリーは開放型、 黒いケースに入っているバッテリーは密閉型、 というのが多いようです。
■バッテリーの充電方法、普通充電や急速充電って知ってる?
さて、バッテリーの電極に電圧をかけてあげれば電流が流れ込んで蓄電するワケです。 ただ、普通充電や急速充電は何となく意味は分かりますが、具体的にはどんな充電方法なんでしょうか。 それぞれ確認していきましょう。
まずはバッテリーの普通充電について。 これは、バッテリーの容量(Ah)の1割(10%・1/10)の電流を一つの目安として充電することをいいます。
空っぽのバッテリーをフル充電するのに12時間以上かかる場合もあります。 単純に容量だけを計算すれば10時間で満充電なのですが、ロスが発生しますし環境や条件によっても変ってしまいます。
例えば、100Ahのバッテリーであれば10Aの電流で充電すると、そういうのが普通充電です。 完全に空っぽの状態からだと概ね12時間でフル充電です。 ただ、充電する電流が10Aより低い場合は、当然ですが12時間以上の時間が必要になるでしょう。
次にバッテリーの急速充電です。 これは、バッテリーの容量(Ah)の10割(100%・1/1)の電流を一つの目安として充電することをいいます。
応急処置的な充電方法でバッテリーへの負担も大きいですね。 また、密閉型のバッテリーは急速充電できません。 30分程度を限界として、一気に7~8割まで充電します。
以上の2つが、基本的なバッテリーの充電方法となりますね。
鉛バッテリーは、フル充電に近づくに連れて流し込める電流が減っていきます。 容量の0~100%まで1割の電流を比例関係で吸収しつづけるワケではないんです。
空っぽの状態の時ほど、より多くの電流を吸収できます。 フル充電に近い状態の時ほど、微弱な電流しか吸収できなくなります。
■どんな充電器を使えば良いの?
バッテリーの容量の(Ah)の1割(10%・1/10)の電流で充電できる充電器が必要になります。
30Ahのバッテリーなら定格出力3Aの充電器で、 50Ahのバッテリーなら定格出力5Aの充電器で、 100Ahのバッテリーなら定格出力10Aの充電器で、 といった具合です。
■DIYソーラーで充電する場合は?
DIYソーラーの場合は、ソーラーパネル(の合計)の出力する電流を考慮します。
例えば、100W:18V:5.56Aといったパネルを使う場合、18V5.56Aという出力が得られます。
このパネルを12Vバッテリーの充電に使う場合、60Ah程度までのバッテリーには充分な電力を得られます。 ですが、100Ahや120Ahといったバッテリーに対しては、ちょっと出力が小さいといえます。
バッテリーをどの程度使うのかによって、パネルとチャージコントローラーとバッテリーのバランスを考える必要がありますね。
■バルク充電・アブソーブ充電・吸収充電・フロート充電・トリクル充電、って何?
いろんな呼び方が出てきましたね。 DIYソーラーで、チャージコントローラーを介してバッテリーに充電するときによく使う用語ですね。
チャージコントローラーの性能にもよりますが、バッテリーの充電状況に合わせて最適な電圧で電流を送ってくれる機能があります。 充電状況をいくつかのステージに分けて充電方法を変えているんですね。
では、それぞれ確認してみましょう。
・バルク充電(bulk) 概ね、バッテリーの70~80%まで充電します。 チャージコントローラーの動作としては、発電した電力をそのままバッテリーに充電するような動作になります。 多くの電流をバッテリーへ送り込む充電方法です。
・アブソーブ充電、吸収充電(absorption) バルク充電後、残りの20~30%分を充電します。 充電する電流が徐々に下がっていき、ごくわずかな電流になるまで一定の電圧を保ちます。 バッテリー容量の0.5%より低い電流になるまで充電すると満充電の状態となります。 バルク充電に比べると、ゆっくり充電する状態です。
・フロート充電、トリクル充電(float) 満充電を維持するための充電。 わずかな使用や自然放電などで失われた容量を補うもので、バッテリーへの負担が少ないわずかな電流で充電します。
前述の通り、 『バッテリーはフル充電に近い状態の時ほど微弱な電流しか吸収できなくなる』 という特性があります。
なので、バッテリーに見合った電圧で充電していれば、自然とバルク・アブソーブ・フロートという充電状態になります。
ただ、バッテリーへの影響を考えれば、充電ステージごとに適切な充電状態を維持してくれる充電器やチャージコントローラーを選ぶのが良いといえますね。
■バッテリーの充電状態の確認ってどうするの?(電圧編)
バッテリーの充電状態を知る方法として手軽なのが、 『テスターで端子電圧を測る』 です。
+(プラス)と-(マイナス)の端子の電圧を測って、電圧の高低で判断します。
12Vバッテリーで、10.5Vを残量0%、13.5Vを残量100%として、バッテリーの残量とフル充電までの充電時間の目安を段階的に書き出してみましょう。
・バッテリーの電圧と残量、充電時間の目安 13.5V、残量100%、充電は不要 13.2V、残量90%、容量の1割の電流で0時間45分 12.9V、残量80%、容量の1割の電流で2時間00分 12.6V、残量70%、容量の1割の電流で3時間15分 12.3V、残量60%、容量の1割の電流で4時間30分 12.0V、残量50%、容量の1割の電流で5時間45分 11.7V、残量40%、容量の1割の電流で7時間00分 11.4V、残量30%、容量の1割の電流で8時間15分 11.1V、残量20%、容量の1割の電流で9時間30分 10.8V、残量10%、容量の1割の電流で10時間45分 10.5V、残量0%、容量の1割の電流で12時間00分
バッテリーの劣化具合や環境などによって変ってきます。 フル充電で14Vほどになる場合もありますし、13.5Vにならない場合もあります。
まぁ、こういうのは完全に曖昧な目安として受け止めるしかないですね。
■バッテリーの充電状態の確認ってどうするの?(バッテリー液の比重編)
バッテリーの充電状態を知る方法として、 『バッテリー液の比重を測る』 という方法もあります。
満充電の比重は1.280でバッテリー上がりの状態の比重は1.120です。
・バッテリーの残量とバッテリー液の比重の関係の目安。 比重1.280、残量100%、充電は不要 比重1.264、残量90% 比重1.248、残量80% 比重1.232、残量70% 比重1.216、残量60% 比重1.200、残量50% 比重1.184、残量40% 比重1.168、残量30% 比重1.152、残量20% 比重1.136、残量10% 比重1.120、残量0%
まぁ、この値も目安として受け止めてくださいね。
■鉛バッテリーの寿命って?
鉛バッテリーの寿命については、2~3年とも、3~4年とも、言われています。 実際はどうなんでしょうか?
答えは、 『鉛バッテリーの使用状況によって1年で寿命を迎える場合もあれば、7~8年経過しても元気な場合もある』 ですね。
そもそも、鉛バッテリーの寿命とはどういう状態なのでしょうか?
鉛バッテリーが寿命を迎えている(交換時期が訪れている)状態とは、 ・バッテリー液がLOWERレベルを大きく下回り、精製水を補充してもバッテリー液の減りが激しい ・2回以上のバッテリー上がりの経験がある ・満充電で常温の状態で比重が1.230以下 こうなってくると鉛バッテリーが寿命を迎えていると判断するべきです。
バッテリーはどうあっても消耗品です。 希硫酸と鉛の電極版の化学反応で蓄電しているものです。 当然ですが充放電の繰り返しで電極版は劣化します。
では、バッテリーの寿命を延ばすにはどうしたら良いのか? というのが一番気になるところでしょう。
バッテリーの寿命を削ってしまう原因としては、 ・放電のしすぎ (スターターバッテリーは特に過放電に弱い) ・しっかり充電されていない の2点です。
スターターバッテリーについては常に満充電の状態で使うように考えられています。 エンジンスタートで消耗した分は、その直後の走行で速やかに充電して、あとはオルタネーターで発電している分でエアコンなどを賄うワケです。
例えば、夜間の走行が多かったり、短時間の走行が多かったり、そもそも自動車を使う機会が少なかったり。 放電に対して充電が間に合わなければ、いずれ『バッテリー上がり』を起こしてしまうでしょう。
ディープサイクルバッテリーについても基本的には同じです。 50%(半分)ほど放電してからの充電にも耐性がありますが、より少ない放電深度で運用する方が劣化を防げます。
逆に言えば、充放電のバランスを意識して運用することで、鉛バッテリーの寿命は簡単に延ばすことが出来るということです。 要は、使った分は速やかに充電して、常に満充電を意識して運用することですね。
乗用車のスターターバッテリーの場合は、エンジン始動直後や、エンジンを停止する少し前に、エアコンなどの電装品をOFFとすることで、バッテリーの負担は確実に減らせるでしょう。
また、目的の用途に対して余裕のある容量のバッテリーを使うというのも大切です。
いかがだったでしょうか。
容量(Ah)や時間率(HR)がちょっと理解しにくいですね。 ただ、このページを読んでもらえれば、鉛バッテリーについて大概のことが分かると、そういう記事を目指しました。
マリン用途、DIYソーラーへの流用、キャンピングカーの補助電源、などなど、鉛バッテリーの活躍の場は多いです。 ただしい知識で効果的にバッテリーを上手に使っていきたいですね。
以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。
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