“所沢”の由来になった毒芋「トコロ(オニドコロ)」を食べてみた
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先日、晩秋のキノコを探しに山へ行ったのですが、この時期には珍しい強烈な乾燥のためひとつも見つけることができませんでした。 肩を落としながら山中の国道を歩いていると、やたらと目につくハート形の葉っぱを発見。 しゃーねーからこれにトライしてみっか!
目次- 「毒山芋」トコロ
- オニドコロはかつて野菜だった!?
- オニドコロを食べてみた
「毒山芋」トコロ
この植物は「トコロ(野老)」というものの一種。オニドコロ……にしてはやや葉っぱのシルエットがぼこぼこしていますが、まあ変異の範疇でしょう。 トコロはヤマノイモ(自然薯)の仲間で、葉っぱもよく見ると共通点がたくさんあります。種類によってはムカゴをつけるものもあります。そして地下には肥大したイモができます。
しかし、ことなるところもまたたくさんあります。ヤマノイモのイモ、つまり自然薯は「地下茎」ですが、トコロのイモは根茎です。そして地中深く縦に伸びる自然薯と異なり、トコロの根は地中浅いところで上下左右に好き勝手に伸び散らかします。
そして何より最大の違いは、トコロのイモには毒があります。
トコロの毒はエグみの成分であるサポニンの一種ジオスチンとジオスゲニン、ならびに当ブログでおなじみのシュウ酸カルシウムとされています。とくに前者には溶血成分があり、食べると胃の粘膜がただれて喀血するだのと不穏な話があります。
むかしから、自然薯と間違えて食べてしまう事故があったみたいで有名な有毒植物らしいです。とはいえよく見るまでもなくヤマノイモとは葉っぱの形が違いますし、個人的に言わせてもらえばこれは「間違える方が悪い」案件だと思います。食べる方がどうかしてるぜ!
まあ、食うんですけど。
オニドコロはかつて野菜だった!?
実はオニドコロをはじめトコロ類はかつては食用にされており、少し前までは市場で市販もされていたそうです。というのも毒成分の多くは水溶性、シュウ酸カルシウムは加熱処理で無効化することができるため、いわゆる「アク抜き処理」でなんとか食えるようにできるのだそう。 まあ場所によってはアホほど生えてるし、ゆでこぼしや水さらしで食べられるなら食うよなとも思います。それどころか江戸時代は野菜として栽培もされ、オニドコロを改良した「エドドコロ」なる品種も作られていたそうです。
ちなみに世界最高のプロ野球チームである埼玉西武ライオンズのフランチャイズシティ所沢はかつては「野老澤」と書き、トコロがたくさん生えている沢だったことに由来するのだそう。狭山丘陵に臨し小川の多い「トトロの森」のあたりはまさに名産地だったのでしょう。 ではさっそく食べてみたいと思いますが、毒抜きについて調べると、先人たちの苦労の跡がいろいろと偲ばれて気分がニュートラルになります。 曰く「灰汁で煮たのにクソ苦い」「散々刻んで水に晒しまくったのに苦い」「生命の危険を感じる苦さ」etc… ともかくクッソ苦く、それを織り込んで食べないといけないらしいのです。野菜として食べた人たちも「この苦みが良いんだよ」「胃にいいと思う(たぶん)」みたいな感覚だったらしいです。やだなー苦いの苦手なんだよな……
まあいいや、やることはシンプルですし、とりあえず当たって砕けろの精神でやってみようと思います。
オニドコロを食べてみた
持ち帰ってきたオニドコロ芋を良く洗い、皮を剥きます。 見た目はぼこぼこした自然薯ですが、素材としては大きく異なりますね。自然薯のような柔らかくシャリシャリしたものではなく、どちらかというとサツマイモに近い。繊維がしっかりしており、ぎゅっと締まった質感です。 これを薄くスライスして、
重曹を少し入れた湯で1時間ほど茹でます。芋自体が黄色みが強く、煮汁まで黄色くなります。なんだかキャッサバみたい。 煮崩れを心配しましたが、この肉質なら絶対大丈夫そうですね。
ゆであがったものを水洗いし、そのまま水に晒します。とりいそぎ1昼夜放置。 晒している間に色がだいぶ抜けましたね。一旦ちょっと味見してみよう。 小さな破片を拾って、口に入れてみました。
……(×益×)ゴハァッ苦い! 渋い! そしてなんだこの舌の痺れ… あ、これはあれだ、シュウ酸カルシウムだ! シュウ酸カルシウム自体は自然薯にも少量含まれており、トコロの見た目から勝手にその程度(未処理でも食えるくらい)を想像してしまっていましたが、この様子じゃ含有されてんな……しんどいわ。 しょうがないので今一度お湯で1時間ほど煮て、さらに1昼夜晒します。
……(´;ж;`)にげぇぇえ 痺れはなくなりましたが苦みが強烈……こりゃああかんですばい。 もう1昼夜いきましょう。
どうかな……いただきます…… ……(´・〰・`)うーん、まあ、耐えられぬものではないか…… 魚の肝を美味しく食べてたら胆汁が口に入ってしまった時くらいの不快感がありますが、まあこれぐらいの苦味ならば「野性味」の範疇ということで突っぱねられるでしょう。 調理については取り急ぎ、トコロの個性を感じるべく出汁とみりん、酒で百合根風にさっと煮含めてみました。
いただきまーす ……(;´Д`)やっぱにがーい!! ダメだコレ、もっとガチガチに味付けしないと食えないやつだわ。
ということで鍋に戻し、砂糖をドカッと入れて大学芋風に仕上げました。 これならどうか
……(`・〰・´)あ、食える 苦みが砂糖でコーティングされてちょうどいい具合に収まりました。 トコロの歯触りは里芋のようなねっとり感とサツマイモのような凝縮感が合わさっており、全体的にはキャッサバ芋に近いように思います。
タピオカの原料・生キャッサバイモを毒に恐怖しつつ調理して食べてみたシログワイをゲットした後、そのままセンタービル地下をふらふらと歩いていると、キャッサバイモを見つけた。 生のキャッサバイモを見かけたのは初めてだ。 キャッサバイモはご存じタピオカの原料で、熱帯を中心に栽培される極めて重要な主食作...www.outdoorfoodgathering.jp2016.06.01ここまで味付けすると芋本来の味わいは解らなくなってしまいましたが、まあそんなことより苦みを折伏するほうが大事です。それにこの食感はなかなかユニークで良いですよ、もっとしっかり毒抜きしてからおかずに使ったりしてみたいですね。あ、フライドポテトもやってみたい。
味:★★☆☆☆ 入手難易度:★☆☆☆☆ どこにでもあるよ ちなみに上記毒成分のジオスゲニンは自然薯にも含まれており、しかも「強壮成分」として分離されサプリメントにもなっているようです。つまりトコロの苦みを我慢して食べまくったらビッキビキのガッチガチになる可能性ワンチャン……!?
よし、ライオンズの三軍の飯で使う芋は全部これにしよう、そしたらみんなバッキバキになるし、「こんな苦いイモ食わされるような場所さっさと出てってやる」と人一倍努力するはず。(なお、その恨みがFA流出につながる)