火星スイングバイに向けて飛行中のNASA小惑星探査機「Psyche」が地球と月を観測
こちらは、NASA=アメリカ航空宇宙局の小惑星探査ミッション「Psyche(サイキ)」の探査機に搭載されているマルチスペクトルイメージャーで2025年7月23日に取得された画像です。
画像の中央でひときわ明るく輝く光点は、私たちが住む地球。画像取得時点ではPsyche探査機から約2億9000万km離れていました。そのすぐ上にある小さな光点は月で、周囲ではおひつじ座の星々が輝いています。
【▲ NASAの小惑星探査機「Psyche」のマルチスペクトルイメージャーで2025年7月23日に取得された画像。中央に地球と月が写っている(左下は拡大画像)(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】観測装置のテストと較正を行うために地球と月を観測
Psyche探査機のマルチスペクトルイメージャーは同一のカメラ2台で構成されている装置で、ミッションの目的地である小惑星「Psyche(プシケ)」の表面を様々な波長の光で観測します。
この画像はPsyche探査機のマルチスペクトルイメージャーのテストと較正の一環として、2台のうち片方のメインカメラで取得されました。3日前の7月20日には、もう片方のサブカメラで同様の画像が取得されています。
マルチスペクトルイメージャーのテストや較正には、小惑星と同じように太陽の光を反射し、なおかつスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)が知られている天体が選ばれます。7か月前の2025年1月に火星と木星の画像が取得された時には、木星よりもはるかに暗く見えるIo(イオ)、Europa(エウロパ)、Ganymede(ガニメデ)、Callisto(カリスト)といった衛星もイメージャーは捉えました。
【▲ NASAの小惑星探査機「Psyche」のマルチスペクトルイメージャーで2025年1月30日に取得された画像。中央に木星、その左に火星が写っている(左下は木星の拡大画像)(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】問題を乗り越えて小惑星への飛行を継続中
2023年10月にアメリカ企業SpaceXの「Falcon Heavy(ファルコンヘビー)」ロケットで打ち上げられたPsyche探査機は、2029年にPsycheに到着し、26か月間にわたる周回探査を実施します。
2025年4月にはイオンエンジンにキセノンガスを供給する配管で圧力が低下する問題が生じたものの、予備の系統への切り替えに成功し、2025年6月からイオンエンジンの稼働を本格的に再開。2026年5月には火星スイングバイ(太陽を公転する惑星などの重力を利用して軌道を変更する方法)を行ってPsycheに向かう予定です。
【▲ NASAの小惑星探査ミッション「Psyche」の探査機の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】最大幅280kmのPsycheは鉄やニッケルといった金属を豊富に含む「M型小惑星」に分類されていて、その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は主に岩石や氷でできていたため、NASAのPsycheは金属質の小惑星を初めて間近で観測するミッションになります。
地球のコアを直接調べることはできませんが、原始惑星のコアだった可能性がある小惑星Psycheの観測を通じて、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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