朝取れ鮮魚その日のうちに…北陸新幹線で東京の「くら寿司」へ ハマチやマアジ、ブリ提供 福井の定置網漁業者
拡大する水揚げされた魚を加工する職員=9月16日、福井県福井市中央卸売市場内の加工場
福井沖で定置網漁を操業する鷹巣定置(本社福井県福井市蓑町、片岡秀典社長)は、大手すしチェーンくら寿司と協力して、東京都内への鮮魚の新幹線輸送に取り組んでいる。朝取れた鮮魚をその日のうちに提供できる新鮮さが好評を得ており、9月8日からは取り扱い店舗も拡大した。片岡社長は「今ある漁獲の付加価値を高めていく成功事例として、業界の活性化につなげていきたい」と話す。
鷹巣定置は水産物卸のケンスイ(本社福井市高柳1丁目)から2018年に分社化。10~60代の乗組員7人体制で、同市長橋町沖合の定置網でおおむね4~11月に操業している。くら寿司とは15年から、水揚げされた水産物を全量買い取る「一船買い」契約を結んでいた。
ただ、22年には潮の流れが突発的に速くなる「急潮」被害で定置網の大半が損壊。休業を余儀なくされたが「10年、20年先も続けられるビジョンを持った新しい取り組みでの再建を」とのくら寿司側からの協力申し出もあり、網を復旧し、北陸新幹線のJR列車荷物輸送サービスを活用した鮮魚輸送を始めた。
くら寿司の上位ブランド「無添蔵」中目黒店の開店に合わせ5月にスタート。好評を受けて9月8日からは都内旗艦店2店舗でも提供を始めた。内臓や頭部を除き、半身などに一次加工したハマチやマアジ、ブリなど対象12魚種を毎日計10~15キロ運ぶ。鷹巣漁港を午前3時に出港、操業し同5~6時に帰港。福井市中央卸売市場内の自社工場内で選別、加工した後、金沢市まで車で運び午前10時58分金沢駅発のはくたか560号で東京駅まで輸送する。その日の夕方には店舗ですしとして提供される。
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取り組みでは限られた時間での加工が求められるため、鷹巣定置では加工部門の強化にも着手。くら寿司の加工チームによる直接指導も受けながら、専従職員に加え、乗組員も加工技術を身に付けた。可食部分のみの輸送でコストを低減し、無添蔵中目黒店では1皿380円(税込み)での提供を可能にしている。
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くら寿司の担当者は「大変好評で、想定をいい意味で裏切られた」と太鼓判を押す。その上で「100円ずし文化を守るには、日本の魚を取る漁業者の安定所得が不可欠。鷹巣定置との取り組みを日本漁業全体が活気づいていくモデルケースとしていきたい」と話す。