月でも酸素が作れると判明
月でも酸素が作れると判明- 2026.03.10 17:00
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- 長谷川賢人
キャンプで焚き火をする時、薪が拾えるならラクですよね。現地調達最高!
宇宙も同じような話です。「月で酸素を生む」という実証テストにNASAが成功しました。
この技術の名前はCaRD(Carbothermal Reduction Demonstration、炭素熱還元実証)。聞き慣れない名前ですが、やっていることは「太陽光を集め、レンズで月の土を焼き、酸素を作り出す」という、なかなかワイルドな発想です。
月の砂を焼くと一酸化炭素が出てくる
NASAジョンソン宇宙センターの発表では、CaRDチームは、太陽光をレンズで一点に集めてレゴリス(月の砂)の模擬試料を加熱し、酸素を取り出すことに成功。集光器、鏡、制御ソフトウェアを組み合わせ、太陽光だけで化学反応を起こせることを確認しました。
レゴリスには、酸素が重量比で約40〜45%含まれています。ただし酸化物や鉱物の中に化学的に固定されていて、そのままでは使えません。
そこで、太陽光を集めた熱でレゴリスを超高温まで加熱し、化学結合を断ち切ることによって酸素を抽出します。
NASAの太陽光集光器の試験image: NASA/Michael Rushing取り出した酸素は呼吸用だけではありません。大事なのはロケットの推進剤になること。
ロケットは燃料を点火して飛びますが、燃やすには酸素が必要です。地球上なら空気中の酸素をそのまま使えますが、宇宙には空気がないので、飛ばすための酸素も地球から積み込んで持っていくしかありません。これが宇宙探査のハードルが高くなる理由のひとつだったんです。
月で酸素を現地調達できれば、いわば「給油」が可能になるようなもの。月面での長期滞在や、月を中継地として火星に向かうミッションのコストが根本から変わります。
そして、今回の実験では「太陽光だけ」という点がポイントです。「月の南極」付近には太陽光が長時間当たり続けるエリアがあります。NASAが進める月面有人探査計画「アルテミス」が拠点として目指しているのもこの場所。そこにCaRDを置けば、半永久的に稼働できる酸素工場になり得る期待も持てます。
さらに酸素を抽出する際には、同時に一酸化炭素(CO)も生成されることが確認されています。一酸化炭素から酸素を取り出すシステムは別にあるとされていますし、このシステムは二酸化炭素から酸素とメタンに変換するためにも応用できるそう。
つまり、大気が主に二酸化炭素で構成されている火星の探査も視野に入ってきます。レゴリス、酸素含んでてくれてありがとうな…!
Source: NASA Johnson Space Center, NASA Image Article, gasworld