勉強会スライド〜立ち上がり動作の困難性を診るポイント〜
勉強会があったので、使用したスライドを掲載することにします。
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目次
基本動作のバイオメカニクスについて詳しく学びたい方は
動作分析臨床活用講座
posted with ヨメレバ石井慎一郎 メジカルビュー社 2013年09月楽天ブックスAmazonスポンサードサーチ
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立ち上がり動作の困難性を診るポイント
立ち上がりの3相まずは、立ち上がりの3相を見ていきます。 図は、後藤 淳他「立ち上がり動作 ―力学的負荷に着目した動作分析とアライメント―」関西理学 2: 25–40, 2002 からの引用です。
第1相では、重心が前方に移動します。
第2相では、離殿から足部に荷重が移動していきます。 第3相では、重心が上方へ移動します。
立ち上がりの各相における観察のポイント坐骨結節に体重が乗るには、骨盤は後傾位をとっていてはいけません。 また、腰椎前傾に伴う脊柱の伸展もキープしながら体重を前方に移動する必要があります。 股関節の可動域が制限されていると、股関節屈曲に伴う体幹前傾を行うことができません。
第2相では、脛骨が前方に倒れていく必要がありますが、それを保証する足関節の可動域が必要になります。
第3相では、股関節と膝関節の協調した動きが必要になります。 また、バランス制御においては足関節戦略が重要な要素になります。
各相における筋活動第1相では、骨盤前傾作用のあるものとして、特に腸骨筋の働きが必要になります。 また、脊柱伸展作用のある筋としては多裂筋が重要です。 腰椎はL3が水平となっているので、L3を軸とした多裂筋の収縮を学習していく必要があります。 よく高齢者などにおいては腰椎・骨盤後傾位が見られますが、このような方たちは骨盤後傾位がニュートラルなポジションとなっており、まずはニュートラルが前後傾中間位であることを学習させる必要があります。
第2相では、下腿前傾に関わる筋として前脛骨筋があります。 離殿時の膝伸展は、体幹前傾に対して大殿筋の遠心性収縮によりブレーキがかかり、それによって大腿が前方回転することにより運動連鎖として膝が伸展します。
第3相では、股関節、膝関節伸展筋として大殿筋、大腿広筋群が活動します。 膝伸展といえば大腿直筋と思いがちですが、大腿直筋が主として働くとよく端座位における筋トレでみられるような、OKCでの膝伸展運動になってしまいます。 床面に対して足底から押し込むような筋活動は、大腿広筋群によるものです。 また、前後方向のバランス制御には、足関節底屈筋の作用によって足関節戦略がとられます。
立ち上がりの戦略と代償動作よく用いられる代償戦略には体幹前傾があり、「おじぎをして」などと指示することがあると思います。 体幹前傾のメリットは、重心前方移動が容易になることです。 離殿以降の体幹を前傾を戻していく際の股関節や腰部の大きな筋活動は必要になりますが、その分膝関節伸展筋の出力は少なくても済みます。
足を後ろに引くことも、よく行われる戦略です。 体幹前傾が少なくても体重前方移動が容易になります。 離殿時の膝関節伸展の筋活動が少なくても済みます。
勢いをつける戦略はあまりとらないかもしれません。 それは、勢いをつけることでバランス制御が難しくなる可能性があるためです。 しかしながら、勢いをつけて立ち上がることは神経学的には理にかなっているとも言えます。
それは、前庭脊髄路との関係性をみていくとわかります。 前庭脊髄路は、屈筋の抑制と伸筋の促通に関与し、下肢伸展の姿勢筋緊張を調整します。 下肢伸筋の促通を行うのですから、立ち上がりにおいては大殿筋の筋活動を促通します。
前庭脊髄路を活性化させるには、前方の加速度を入力する必要があり、「おじぎをする」ような体幹前傾の戦略では前庭脊髄路は発火しないということになります。 前庭脊髄路は歩行にも関与していますから、歩行のことも考慮すると勢いをつける立ち上がりをする方が良いと言えるかもしれません。 前庭脊髄路については以下の記事が参考になります。 橋の損傷(梗塞、出血)における前庭神経の評価やアプローチの考え方! 錐体路と錐体外路の覚え方!随意性と筋緊張に関わる伝導路!
これも、後藤 淳他「立ち上がり動作 ―力学的負荷に着目した動作分析とアライメント―」関西理学 2: 25–40, 2002 からの引用です。 例えば第1相〜2相にかけての代償戦略としては、 体幹前傾できない→下腿前傾増加 下腿前傾できない→体幹前傾増加 両方できない→上肢での代償 などが生じます。
なぜ手をつくのか立ち上がりで手をつく方をよくみますが、これは、第1相において屈曲相を作れないことや、バランスの不安定さを補っていることに原因があります。 屈曲相を作れず、重心が前方にうまくできないため、離殿以降の重心の前方〜上方への移動を手を使って保障しようとしているのです。 屈曲相を作れない原因として、骨盤の後傾がありますが、骨盤が後傾する原因には、上記のようなものがあります。 これらの評価とともに、バランス保持として足関節戦略がうまくできない理由も評価していく必要があります。
立ち上がりが行いやすい足関節背屈可動域これは健常者を対象にした研究ですが、それによると、立ち上がり動作を容易に行いやすい足関節背屈可動域は10°以上ということです。
股関節伸展、足関節底屈のMMTの方法が新しくなっている?!以下のスライドは、PT協会が出している徒手筋力評価法の方法(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/publiccomment/1_mmt20140612.pdf)です。
股関節伸展のMMT3〜5を背臥位で評価できることや、足関節底屈のMMTも、自分の学んだ方法とは異なっていましたが、臨床応用しやすいと思い掲載しました。