勝又壽良のワールドビュー
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中国商務省は1月6日、今年の第1号公告として「日本に対する軍民両用物資の輸出規制強化に関する告示」を発表し、軍事用途に使用可能なすべての物資の日本輸出を禁止すると発表した。この規定は同日から適用される。このうち、軍民両用物資には先端製造業に欠かせないレアアースをはじめとする戦略鉱物、半導体、ドローン(無人機)などが含まれる。

 

中国のこの措置に対して日本政府は落ち着いた対応だ。赤沢亮正経済産業相は7日夜、民放のテレビ番組に出演し、中国が発表したデュアルユース(軍民両用品)の日本向け輸出管理の強化について「米国やG7(主要7カ国)各国をはじめとする関係国とも連携の上、冷静かつ毅然に必要な対応を行っていく」と述べた。輸出管理の具体的な対象品目は現時点で分かっておらず、日本経済への影響は「精査中」だとした。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月7付)は、「中国がレアアースで対日規制か 車・機械『輸なら影響重大』」と題する記事を掲載した。

 

中国政府が軍民両用(デュアルユース)の規制に基づいて日本への輸出規制を強化することを決めた。レアアース(希土類)関連製品も対象に含むとの見方もあり、自動車や電子部品、工作機械などの幅広い産業に影響する可能性がある。

 

(1)「中国商務省は6日、輸出管理法に基づいて日本に対するデュアルユースの規制を即日で厳格にすると公表した。商務省はレアアースを含むかは明らかにしていないが、重希土類は電気自動車(EV)から兵器まで幅広いハイテク製品に不可欠とされる。中国政府は日本で軍事にかかわる顧客への輸出を禁じるほか、日本の軍事力向上につながるすべての輸出を禁止するとしている」

 

中国が,日本へ喧嘩をふっかけてきた。国内経済不振の不満を日本へ向けさせる狙いだ。日本は、ここで慌てることはない。28年には、南鳥島のレアアースが操業予定である。これを「担保」に、米国などから一時的に借入れも可能だ。中国は、米国へ喧嘩を売れないので日本へ向けている。経済産業省が、G7各国と協議するとしているのは、「一時的借入れ」措置を考えているのであろう。

 

(2)「EVのモーター用磁石の製造でレアアースを使用しているプロテリアル(旧日立金属)は「当社製品が軍事用途に使われていることは一切ない」とコメントした。レアアースは半導体や電子部品などに幅広く使われるため製品出荷後の流れを把握しきれず、「軍事用に絶対に使われていないと断言するのは難しい」(業界関係者)との見方もある。木原稔官房長官は7日の記者会見で、中国政府が日本に対するデュアルユース品目の輸出管理を強化したことについて、外務省などから抗議し、撤回を求めたと明らかにした。「国際的な慣行と大きく異なり、決して許容できず、極めて遺憾だ」と述べた。レアアースが含まれるかどうかを問われると「措置の対象など不明瞭な点も多く、日本産業への影響などコメントは差し控える」と話した」

 

中国の嫌がらせには、ドカーンと大きい「球」を打ち込むことも必要だが、ここはまともに相手にしないことだ。関係を持たないことが、中国への拒否反応に通じることなろう。

 

(3)「レアアースが含まれれば、企業活動への影響は避けられない。例えばEVやハイブリッド車(HV)の駆動用モーターにはネオジム磁石という強力な磁石が搭載される。耐熱性を高めるために添加するジスプロシウムとテルビウムは、生産地が中国に集中する。2025年4月に米国の相互関税への報復の一環で中国政府が7種類のレアアースの輸出規制に踏み切った際には、日本の自動車大手が生産の一時停止に追い込まれた。豊田通商の今井斗志光社長はレアアースについて「中国からの輸出が止められたら本当にクリティカル(重大)だ」と自動車供給網への影響を危惧する。汎用的な半導体のような代替手段がなく「日米韓で国を挙げて対応していくしかない」と指摘する」

 

業界でやりくりする方法もあるし、政府機関が直接、斡旋する方法もあろう。

 

(4)「レアアースを巡っては、10年にも尖閣諸島問題で中国が日本へのレアアース輸出を制限し、供給が逼迫した。この教訓から各社はリスク低減に動いてきた。ミネベアミツミはスマートフォンカメラの手ぶれ補正を助ける駆動装置(アクチュエーター)を手がけている。レアアースを使わない製品を開発し、既存製品との置き換えが進んでいる。一方で、貝沼由久会長CEO(最高経営責任者)は、「日本企業全般に向けての規制なら製品の脱レアアースを進めなくてはならない」と強調する」

 

脱レアアースという方法もある。2010年には、この方法も広く採用された。

 

(5)「日本は調達先の多様化も進め、オーストラリアやカザフスタンなどと鉱山開発などの分野で連携を強化してきた。海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、1月に南鳥島沖でレアアースの試験掘削を始める。世界のレアアース生産の大半を中国が担うなか、国産資源の開発にも踏み出している。経済産業省も所管するエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて民間の鉱山開発や製錬事業を支援する。これまでは銅のみだった支援対象をそれ以外にも広げる。関連予算を25年度の補正予算に計上した。JOGMECによる重要鉱物の備蓄を増やすための経費を支給し供給網が途絶えることも防ぐ。鉱山開発支援なども含めて25年度の補正予算に937億円を計上した」

 

日本は、2010年に中国のレアアース輸出禁止に遭遇している。その後、企業別で対策が練られたはずだ。今になって、大騒ぎする日本企業はいささか油断していたという誹りを免れないであろう。

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