ラジコン飛行機 練習機の設計 その3 -尾翼検討-
ラジコン飛行機 練習機の設計 その3 -尾翼検討-

ラジコン飛行機 練習機の設計 その3 -尾翼検討-

さて、まだ概念設計が続きます。 前回までに機体全体の諸元と主翼の諸元、質量目標まで決めました。 今回は尾翼諸元について検証をしていきます。

目次

  • 1  概念設計の続き その1
    • 1.1  前回までに決めたこと
    • 1.2 尾翼面積の検討
      • 1.2.1 尾翼面積を求める
      • 1.2.2 尾翼モーメントアームを求める
      • 1.2.3 各尾翼容積率の確認
      • 1.2.4 尾翼面積の調整
      • 1.2.5 尾翼諸元の整理
        • 1.2.5.1 水平尾翼
        • 1.2.5.2 垂直尾翼
    • 1.3 尾翼翼型の選択
      • 1.3.1 参考URL
  • 2 概念設計のまとめ

 概念設計の続き その1

 前回までに決めたこと 諸元・目標 値 単位 全幅 1000 mm 全長 602 mm 全高 214 mm コード長 153 mm 翼面積 15.12 dm^2 アスペクト比 6.54 – テーパー比 1.0 – 上反角 0.0 deg 後退角 0.0 deg 翼型 Clark Y – 全備重量 300 g 以下 翼面荷重 20 g/dm^2 以下 最低飛行速度 17.3 ㎞/h 以下

前回書いていませんでしたが、主翼のアスペクト比(縦横比)やテーパー比(先細比)、上反角、後退角は実機のままとしています。

テーパーはありませんので1です。テーパー無しのメリットとしては、工作が楽、翼端失速しにくい。デメリットとしては誘導抗力が大きい、翼付け根の入力が大きくなり構造的に不利。です。 構造的には実機同様に下から支柱で支える構造にするので回避できますが、抗力は支柱も含めて大きくなるので揚抗比は悪くなります。具体的には滑空性能や加速性能、燃費が悪い機体になります。が練習機ということでは速度も出にくいしちょうどいいかもしれません。

後退角無しは良いとして、上反角無しはどうだろう?スパイラル安定性が悪くなるかもだけど高翼機なので大丈夫かな?? 上反角をつけてしまうとスピリットオブセントルイスのあの真っ直ぐな翼が再現できなくなってしまいます。ディテールにはこだわらないとはいえ、ここは残したい。ということでそのまま行くことにします。

アスペクト比の値は翼端形状は考慮していないので後ほど微妙に変化すると思いますが細かいことなので気にしない。

あと、主翼のコード長(というか前後長)は実機図面から読み直しました。 計算値の151mmとほぼ一致してますが、少しでも主翼面積を稼ぎたいので、実機の図面値を切り上げて153mmに変更してます。 翼端形状で減る分もあるので翼面積はそのままとしておきます。

尾翼面積の検討

さて、今回の本題、尾翼です。 尾翼面積を求めて、以下のページの水平尾翼容積率、垂直尾翼容積率を確認します。 機体設計をするときの基準 by Mark Drela  (たかい氏による翻訳)

尾翼面積を求める

面積を求めるやり方はいろいろあると思いますが、今回はCADで絵をかいて計測することにしました。

使ったCADはFreeCAD ver0.16です。FreeCADはその名の通りフリーの機械系3D CADです。 仕事では商用の機械系CADを使ってますが、趣味の範囲ならこれで十分な気がします。応力解析とかも他のフリーソフトと組み合わせて可能なようですし。興味がある方は以下参考URLへどうぞ。

  • FreeCAD (本家)
  • FreeCAD使い方メモ (実験記録 No.02)

FreeCADで選択した面の表面積を計測するコマンドが不明だったので、以下を参考に立体の体積を計測して求めています。 FreeCADメモ 体積、表面積、重心を求める (実験記録 No.02)

尾翼の平面形をスケッチで書いて、1mmで押し出して立体化して体積を計測、値をmm^2に読み換えてます。(高さで割ってるのと同じ意味です)

上図がCADで書いた垂直尾翼です。拡大してみると下のコマンドラインに体積の値5774.014…が出ているのが分かります。

さて、計測結果は以下でした。(データは実機の図面から1/14サイズで作成) 水平尾翼面積: 17947 mm^2 垂直尾翼面積: 5774 mm^2

尾翼モーメントアームを求める

つづいて尾翼モーメントアームを求めます。 尾翼モーメントアームの定義は、機体重心から水平尾翼と垂直尾翼の平均翼弦の1/4位置までの距離です。

機体重心は仮に主翼の平均翼弦の1/4位置(翼弦前端から25%の位置)として、実機図面から計測します。 尾翼の1/4翼弦はこの辺り!と、えいやと決めます。ということで、 垂直尾翼については、ラダーの取り付け軸位置としました。 水平尾翼については、上記の25mm前としました。 尾翼容積率自体が目安なのでそれほど正確じゃなくても構いません。

この結果、モーメントアームはそれぞれ以下になりました。 水平尾翼モーメントアーム: 372mm 垂直尾翼モーメントアーム: 397mm

各尾翼容積率の確認

さて、尾翼容積率を求める為の数字がそろったので確認します。 まずは水平尾翼から。

$$ V_h = \frac{S_h l_h}{S c} $$

Vh: 水平尾翼容積率 Sh: 水平尾翼面積 17947 mm^2 lh: 水平尾翼モーメントアーム 372 mm S: 主翼面積 15.12dm2 = 151200 mm^2 c: 主翼コード長 153 mm よって、Vh=0.29

Vhの範囲は0.30~0.60が良い範囲だそうなので、ちょっと不足。

続いて垂直尾翼です。

$$ V_v = \frac{S_v l_v}{S b} $$

Vv: 垂直尾翼容積率 Sv: 垂直尾翼面積 5774 mm^2 lv: 垂直尾翼モーメントアーム 397 mm S: 主翼面積 151200 mm^2 b: 主翼スパン = 全幅 1000 mm よって、Vv=0.015

Vvの範囲は0.02~0.05が良い範囲だそうなので、こちらもちょっと不足。 フリーフライト機の水平尾翼容積率の目安を見つけたのでURLを張っておきます。 マッコム氏の貢献1 適正垂直尾翼容積比

尾翼面積の調整

さて、水平尾翼、垂直尾翼ともに容積率が最適範囲に少し届きませんでした。 スケール感が多少犠牲になりますが、練習機ということも考慮して尾翼は少し拡大しておこうと思います。

Vhを0.3以上にするには水平尾翼面積を1.03倍、Vvを0.02以上にするには垂直尾翼面積を1.33倍にする必要があります。 垂直尾翼のほうが厳しいので1.33倍以上にする方向で考えると、寸法は面積に2乗で効くので√1.33=約1.15倍以上にしてやれば良いことになります。 これに安全を見て、寸法を1.2倍にするとすると、面積は1.2^2=1.44倍。VhとVvを再度確認すると、 Vhは0.29*1.44=0.42 (適正範囲 0.3~0.6) Vvは0.015*1.44=0.022 (適正範囲 0.02~0.05) とどちらも適正範囲内になります。

ということで、尾翼については寸法1.2倍サイズにすることにします。

尾翼諸元の整理

ここまでに決めたことを一度整理しておきます。

水平尾翼
  • 翼面積: 25844 mm^2 (1/14スケールの1.44倍)
  • 翼幅: 261 mm ( 1/14スケールの1.2倍)
  • 容積率: 0.42
垂直尾翼
  • 翼面積: 8315 mm^2 (1/14スケールの1.44倍)
  • 翼幅: 114 mm (1/14スケールの1.2倍。機体上下方向)
  • 容積率: 0.022
尾翼翼型の選択

尾翼の翼形はどうしようか?基本は対称翼型を使うとして、垂直尾翼はドーサルフィンもないし失速特性の良い翼型がいいかな?ということぐらいしか分からない。。。 仕方ないのであとはベンチマークというか先人の知恵を借りることにします。

ということで軽く調べてみると模型飛行機や人力飛行機の尾翼に使われている翼型には以下のようなものがありました。

NACA0009 NACA0012 SD8020 HT12 HT23 (非対称)

この時点ではNACA0009が無難そうという印象。 HT23は非対称なので除外して、それ以外の5つの翼形についてXFLR5で特性を確認してみます。

NACAの4桁&5桁翼型についてはXFLR5で直接データを作れるので翼形データのダウンロードは不要です。 メニューのFoilからNaca Foilsを選択すると番号を入れるダイアログが開くので入力すればデータを作成してくれます。 それ以外のSD8020とHT12はまたUIUCの翼型データのページからダウンロードして使います。

読み込んだデータを並べると以下のような感じ。

肉厚な順にNACA0012 > SD8020 > NACA0009 >HT12 HT12はハンドランチグライダーの尾翼に使われていた翼型なので、抵抗の低減を目的に薄翼を使っていると思われ。 それ以外は肉厚違いといった感じ。

データが残っていなくて恐縮ですが、実際解析をかけるとどの翼形も一旦失速を起こした後、さらに迎え角を大きくしていくとまた揚力係数が大きくなるという挙動をしていました。Re数が低いことが原因?分かる人教えて下さい。 そのなかでもHT12は失速せずに迎え角30度までほぼ一直線に揚力係数が大きくなるというグラフになりました。これをみるとHT12にするのが尾翼の失速を抑えられてよさげ。また、実機の翼形はよくわかりませんが図面を見ると薄い翼形を使っているみたいなので、スケール感もHT12のほうが出そうです。 ただ、薄翼だと作るのが難しそうなのと、強度・剛性を確保するのが難しそうなので、無難なところではNACA0009。

うーん、、とても迷います。 まぁでもせっかくなので頑張ってHT12で行ってみましょうか。 実際に検討してみて剛性が保てないようであれば厚い翼型に変更します。

ということで、翼型はHT12を採用することにします。

参考URL

以下、先人の知恵を借りたWEBページです。

US-1 製作記 東京工業大学 Meister 宙 三面図 (pdf) 東京大学F-tec 第4章機体諸元 扇evoの尾翼 マスホーイ設計局 用語集-翼型 鳥人間の何か。

概念設計のまとめ

最後に今回までに決めたことをまとめておきます。 諸元が決まってきたのでそろそろ3メンズwではなくて、3面図を作りたいと思います。 あとは動力を検討して概念設計は大体おしまい♪♪

諸元・目標値 値 単位 備考 機体諸元 全幅 1000 mm 全長 602 mm 尾翼寸法変更分の補正要 全高 214 mm 尾翼寸法変更分の補正要 全備重量 300 g以下 最低飛行速度 17.3 km/h以下 重心位置 25 %MAC 仮置き値 主翼諸元 翼型 Clark Y – 翼幅 1000 mm 全幅と同じ コード長 153 mm =空力平均翼弦 翼面積 15.12 dm^2 翼面荷重 20 g/dm^2以下 アスペクト比 6.54 – テーパー比 1.0 – 上反角 0.0 deg 後退角 0.0 deg 水平尾翼諸元 翼型 HT12 – 翼幅 261 mm ざっくり値 翼面積 25844 mm^2 モーメントアーム 372 mm ざっくり値 容積率 0.42 – 垂直尾翼諸元 翼型 HT12 – 翼幅 114 mm ざっくり値 翼面積 8315 mm^2 モーメントアーム 397 mm ざっくり値 容積率 0.022 – 動力諸元 今後検討 搭載機材 今後検討

ほとんど書けてたのに翼型決めで迷って遅くなりました m(_ _)m

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