二度と観たくない胸糞映画は? 後味の悪い問題作5選。鑑賞注意...心に深く重い傷をもたらす衝撃作をセレクト
二度と観たくない胸糞悪い映画5選観終わったあと、後悔しか残らない。暴力、虐待、狂気、無力感――感情を逆撫でする展開の連続に、もう二度と再生ボタンを押せない…。今回は、視聴後に重い後味と心のざらつきを残す「胸糞映画」を5本厳選。作品の魅力を紹介する。[2/5ページ](文・阿部早苗) ——————————
観る者に強烈な不快感を与える異様な親子関係『悪い子バビー』(2023)
俳優のニコラス・ホープ
監督:ロルフ・デ・ヒーア キャスト:ニコラス・ホープ、クレア・ベニート、ラルフ・コッテリル、カーメル・ジョンソン
【作品情報】35年間、母親の異常な愛情によって閉ざされた部屋の中で育てられたバビー。彼は「外の世界は有毒だ」と信じ込まされ、母親の言うままにすべてを受け入れて生きてきた。だが、ある日突然、父親が現れたことで、バビーの運命は大きく動き出す――。
【注目ポイント】ロルフ・デ・ヒーア監督による1993年の映画『悪い子バビー』は、その衝撃的な内容と倫理的な挑発性により、公開当初から激しい賛否を巻き起こした問題作だ。
主人公バビーは、母親によって30年以上ものあいだ外界から完全に隔離された不衛生で狭苦しい空間で育てられてきた。母は「外の空気は毒だ」と刷り込み、近親相姦を含む性的虐待を繰り返す。教育も社会性も奪われたバビーは、言葉を断片的に真似ることしかできず、その振る舞いは常人とは大きくかけ離れている。
冒頭から描かれるこの異様な母子関係は、観る者に強烈な不快感を与える。バビーの純粋さゆえの無垢さが、かえって異質さとして際立ち、見る者を戸惑わせるだろう。そして物語をさらに揺さぶるのが、突如現れた父親の存在だ。粗暴で支配的な彼は、母と結託してバビーを家から追い出そうとする。この展開には、憤りを感じずにはいられない。
だが、『悪い子バビー』は単なる胸糞映画で終わる作品ではない。父の登場を契機に、バビーは初めて外の世界へと足を踏み出す。常識も言葉も知らないまま、無垢なままに社会に放り出された彼は、周囲の人々との出会いを通して、徐々に人間らしさと自立心を取り戻していく。
極限状態の中で育ったバビーの人生は、時に胸が潰れそうなほど残酷で、痛々しい。しかしその一方で、他者とのふれあいによって少しずつ人生が変化していく過程は、深い希望に満ちている。これは、過酷な環境に押し潰されることなく、他者の優しさを手がかりにして自分の人生を切り拓いていく、一つの人間賛歌である。
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