伊勢物語『月やあらぬ』品詞分解/現代語訳/解説①
伊勢物語『月やあらぬ』品詞分解/現代語訳/解説①

伊勢物語『月やあらぬ』品詞分解/現代語訳/解説①

伊勢物語『月やあらぬ』品詞分解/現代語訳/解説①
  • 2024.01.08
  • 伊勢物語 古文 定期テスト対策
  • #伊勢物語, #古文, #定期テスト対策
目次
  • 1. はじめに
  • 2. 出典について
  • 3. 昔、東の五条に、大后の宮おはしましける西の対に、住む人ありけり。
  • 4. それを、本意にはあらで、心ざし深かりける人、ゆきとぶらひけるを、
  • 5. 正月の十日ばかりのほどに、ほかに隠れにけり。
  • 6. 在り所は聞けど、人の行き通ふべき所にもあらざりければ、
  • 7. なほ憂しと思ひつつなむありける。

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。

今回は伊勢物語から『月やあらぬ』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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出典について

まずは出典の伊勢物語について触れておきましょう。

出典:伊勢物語

★ジャンル・内容について 歌物語。歌物語とは和歌を中心として、その歌が詠まれた背景や事情を物語にしたもの。伊勢物語は百二十五段(前後)から成り、「男」の元服から死ぬまでの半生が語られる。

★作者について 作者は未詳であるが、在原業平またはそれに近しい人物であると推察される。

★成立について 平安時代中期ごろに原型ができたとされる。その後、今ある『伊勢物語』となったが、詳しくは明らかになっていない。

その他 『伊勢物語』に登場する「男」とは、六歌仙の一人である在原業平だとされているが、定かではない。

昔、東の五条に、大后の宮おはしましける西の対に、住む人ありけり。

昔                  名詞              東 名詞「東の五条」で、左京の五条通を指すの格助詞    五条名詞現在の京都市。に格助詞大后の宮名詞読みは「おほきさいのみや」。皇太后(天皇の母)のことで、藤原冬嗣の娘である藤原順子を指すとされている。おはしまし動詞サ行変格活用動詞「おはします」の連用形。「あり、をり」の尊敬語、「行く、来」の尊敬語、尊敬語の補助動詞といった意味がある。同じくサ行変格活用動詞の「おはす」よりも敬意が高い。ここでは「あり、をり」の尊敬語として使われており、作者から大后の宮への敬意が示される。ける助動詞過去の助動詞「けり」の連体形。同じ過去でも「き」は直接過去(自身の体験)、「けり」は間接過去(他者の経験)と分けられる場合がある(混同されている場合もある)。その場合は 「き」「けり」で主語が判別できることがあるので、 それぞれニュアンスを押さえよう。西名詞「西の対」で、正殿の西にある建物のことを指すの格助詞対名詞に格助詞住む動詞マ行四段活用動詞「住む」の連体形人名詞この「西の対に住む人」は二条の后(藤原高子)のことであるとされている。この人物は『伊勢物語』の作者である在原業平と「深い関係」にあったとされる。(cf.『伊勢物語』「芥川」)あり動詞ラ行変格活用動詞「あり」の連用形。ラ変動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそが(か)り/いますが(か)り」を押さえておこう。けり助動詞過去の助動詞「けり」の終止形 昔、東の五条に、大后の宮がいらっしゃった西の建物に住む人がいた。

それを、本意にはあらで、心ざし深かりける人、ゆきとぶらひけるを、

それ     代名詞     西の対に住む人を指す                            を格助詞本意名詞本来の目的、かねてからの願い、の意。「ほい」という読みも重要。ここでは「西の対に住む女性と親交を深めたい」という願いのことと解釈しておく。に助動詞断定の助動詞「なり」の連用形は係助詞あら動詞ラ行変格活用動詞「あり」の未然形で接続助詞打消接続。未然形に接続することに注意。心ざし名詞「愛情、誠意」、「贈り物、謝礼」という意味を持つ語。ここでは前者の意味で使われる。深かり形容詞ク活用の形容詞「深し」の連用形ける助動詞過去の助動詞「けり」の連体形人名詞この「心ざし深かりける人」は業平を指すとされる。ゆきとぶらひ動詞ハ行四段活用動詞「ゆきとぶらふ」の連用形。「訪問する」の意。ける助動詞過去の助動詞「けり」の連体形を接続助詞逆接の確定条件 その女性を、かねてからの願いではなく、愛情が深くなった男が訪ねたが、

正月の十日ばかりのほどに、ほかに隠れにけり。

正月     名詞     「むつき」と読む。陰暦一月のこと。「睦月」とも言う。各月の異名と、季節区分については理解しておきたい。現代に生きる我々と感覚が違うので、「1月から数えて3カ月ごとに四季を区分していけばよい」と覚えておこう。【春】1月:睦月、2月:如月、3月:弥生【夏】4月:卯月、5月:皐月、6月:水無月【秋】7月:文月、8月:葉月、9月:長月【冬】10月:神無月、11月:霜月、12月:師走の格助詞十日名詞ばかり副助詞程度の副助詞。限定の用法もあるので合わせて覚えておこう。の格助詞ほど名詞★重要単語時間、距離、空間、物体など様々な事物の程度を示す。に格助詞ほか名詞に格助詞隠れ動詞ラ行下二段活用動詞「隠る」の連用形。別の場所に身を移したのは、果たして誰の意志なのか。に助動詞完了の助動詞「ぬ」の連用形けり助動詞過去の助動詞「けり」の終止形 正月の十日あたりのときに、他の場所に(女性は)隠れてしまった。

在り所は聞けど、人の行き通ふべき所にもあらざりければ、

在り所      名詞    居場所の意は係助詞                              聞け動詞カ行四段活用動詞「聞く」の已然形ど接続助詞逆接の接続助詞。已然形接続ということも押さえておきたい。人名詞の格助詞主格用法行き通ふ動詞ハ行四段活用動詞「行き通ふ」の終止形。「人が出入りすることができるところでもない」場所、つまり宮中を指すという解釈も可能である。べき助動詞可能の助動詞「べし」の連体形。★重要文法助動詞「べし」は多くの意味をもつが、以下のように判別の手掛かりになる「ルール」があるので整理しておきたい。※必ず文脈判断を踏まえること。この「ルール」は「この意味になることが多い」程度の認識でいるべし。【原則】・主語が一人称⇒意志・主語が二人称⇒適当/当然/命令・主語が三人称⇒推量【文脈判断等】・下に打消を伴う⇒可能 ・下に格助詞の「と」を伴う/終止形⇒意志・下に名詞や助詞を伴う(「~するはずの」と訳す)⇒当然/予定 ※直後に助詞が来る場合:名詞が省略されている。・文中に疑問/反語を示す語を伴う⇒推量/可能所名詞に格助詞も係助詞あら動詞ラ行変格活用動詞「あり」が補助動詞として使われている。「あり」本来の意味である「存在する」という意味ではなく、「~の状態である」という意味で使われていることに注意する。ざり助動詞打消の助動詞「ず」の連用形けれ助動詞過去の助動詞「けり」の已然形ば接続助詞★重要文法接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない)⇒仮定(もし~ならば)②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている)⇒(ⅰ)原因・理由(~なので)(ⅱ)偶然(~したところ)(ⅲ)必然(~するといつも)ここでは原因・理由で取ると自然か。 (女性の)居場所を(男は)聞いたが、人が出入りすることができるところでもなかったので、  

なほ憂しと思ひつつなむありける。

なほ     副詞   ★重要単語現代にも残っている「依然としてやはり(変わらず)」、「よりいっそう」のほか、「なんといってもやはり」などの意味があり、文脈に応じて適切な訳語を当てる。憂し形容詞★重要単語ク活用の形容詞「憂し」の終止形。漢字のとおり、憂鬱な気持ちを表す語。「つらい、いやだ」の意。と格助詞思ひ動詞ハ行四段活用動詞「思ふ」の連用形つつ接続助詞   動作の継続を表す。なかなか機会はないであろうが、「つつ」の接続を答える必要がある際は「歩きつつ」「~をしつつ」などの用例を考えてみると連用形接続が導き出せる。文法事項を丸覚えすることも一定必要だが、例文などから一般法則を導く練習(パターンプラクティスの考え方。第二言語習得に際し有効とされている)もしておくとよい。なむ係助詞強意の係助詞。「なむ」には以下の4パターンあるので、それぞれ識別できるように押さえておきたい。(「⇒」以下は見分ける際のポイント)①他への願望の終助詞「なむ」⇒「なむ」の上は未然形②助動詞「ぬ」の未然形「な」+助動詞「む」⇒「なむ」の上は連用形③係助詞「なむ」⇒結びの流れや省略が発生していない場合、文末は連体形④ナ変動詞の一部(未然形)+「な」+助動詞「む」⇒「な」の上に「死」や「去(往)」があるこの場合は文末の過去の助動詞「けり」が連体形になっているため、③と判断する。あり動詞ラ行変格活用動詞「あり」の連用形ける助動詞過去の助動詞「けり」の連体形。係助詞「なむ」を受けて係り結びが成立している。 よりいっそうつらいと思いながらいた。

今回はここまで🐸

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伊勢物語『月やあらぬ』品詞分解/現代語訳/解説②

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